日本のジェンダー問題の現状をNYで語る

弁護士 伊藤 和子さん

 ニューヨーク日系人会ビジネスウーマンの会(JWB、石田圭子代表)主催、NY日系人会支援セミナー「疑問視される日本の#MeTooその後 ジェンダー問題の現状は?」が3月17日、NY日系人会ホールで開催された。講演者は伊藤和子弁護士(ヒューマンライツ・ナウ副理事長、ミモザの森法律事務所)、モデレーターはジャーナリストの津山恵子さん。

 男女間のジェンダーギャップ指数が世界146か国中116位の日本。2017年に世界的に盛り上がった#MeToo 運動以来、日本でも少しずつ改善の動きはみえている。しかし、政治家や企業幹部の問題発言や広告などにおける不適切な表現など、問題は次から次へとわき起こる。

 そのフロントラインで弱者の権利のために戦い続けている伊藤弁護士が女性蔑視発言や社会で根強いミソジニー(女性や女性らしさに対する嫌悪や蔑視の感情)など具体例を取り上げて、日本のジェンダー問題の現状を語った。

 講演では、4年前にジャーナリストの伊藤詩織さんが国連で記者会見した当時を振り返り、彼女の勇気が問いかけたものは何だったのかに焦点を当てた。なぜ不同意性交を処罰しないのか、なぜ被害者の落ち度が非難され、加害者の認識が問われないのか、被害者へのバッシングを放置していいのか、なぜメディアは報道しないのか。メディアの女性は抑圧され、ハラスメントされ、書きたい記事が書けないのではないか、などと指摘した。19年の「岡崎判決」「静岡判決」「久留米判決」「浜松判決」の4件の無罪事件を報告した。

 ついで海外で法改正が進み、性行為には明確な「同意」が必要となるのに合わせ、日本も国際水準の法改正をするべきだと述べた。そして相次ぐ炎上発言や問題広告を紹介した。森元オリパラ組織委員会会長の「女性が参加する会議は長い」や吉野家幹部が早稲田大学で講義したセミナーで「田舎から出てきたばかりの生娘をシャブ漬けにする」マーケティング戦略などを例に挙げた。日本の女性蔑視問題を改善するためには「フェミニズム運動を強化して声をあげ、自分を大事に自尊心を大切にすることが必要」と述べた。

 会場から「会社の男性上司から自分が恋愛対象として見られていて、同僚女性に相談しても『モテていいわね』と言われた。自分はフリーランスだがどうしたらいいか」と言った質問が出された。伊藤弁護士は「それはセクハラの問題なのでフリーランスであっても会社が構造的問題として対処すべき」と応えた。