自分だけの音楽性を追求する

作曲家、ピアニスト、アコーディオ二スト

永井晶子さん

 「ニューヨーク音楽シーンのユニークかつ予測不能な存在」と評される永井晶子(ながい・しょうこ)さん。前衛音楽とワールドミュージックの自身のバンド「トカラ」を結成、夫でドラマーの武石聡さんとのユニット「ヴォルテックス(Vortex)」では自作曲を発表、ユダヤ教礼拝堂の儀式やアメリカ・チェコ人形劇団ではアコーディオンを演奏、リンダ・ホーグランド監督の映画音楽を担当するなど、ジャンルを越えた音楽家として、知る人ぞ知る存在だ。2月3日放映予定の「Sex and the City」の続編「And Just Like That…」にはミュージシャン役で登場、収録が終わったばかり。

 幼少期からエレクトーンで音楽の感性を磨き、渡米前はヤマハ音楽講師として活動していた。「今エレクトロニクスを融合した前衛音楽が作れるのは、エレクトーン演奏者だったからこそ」と、その経歴を強味とする。「ジャズピアニストになりたい」との思いからバークリー音楽院へ進学、「美しく弾くだけではない自分だけの音楽性」への意識が芽生えた。

 ニューヨークで活動を始めたある日、前衛音楽家の大御所、ジョン・ゾーンから電話があった。この共演がきっかけで、フリージャズへと活動範囲が広がる。また、イスラエル出身の友人が多かったことからシルクロードでつながる東西の音楽ひいてはワールドミュージックへと演奏の幅が広がり、いつしか中東音楽を奏でるアコーディオン弾きとしても不動の地位を得た。そうしたいくつかの出会いを「運命」と晶子さんは言う。「よかったら直ぐに反応してくれる。ユダヤ人でもない私を起用してくれる。そういうのがニューヨーク」。

 夫の武石聡さんとの出会いも「彼なしでは音楽性の成長はありえなかった」と言う「運命」。即興演奏など「間の取り方」がぴったりなのだそう。夫婦ユニットの「ヴォルテックス」は結成20周年を迎える。

 近年は作曲活動に主軸を置く。今年は3つの助成金を得て、CDリリースも控える。3月にはバースデーライブも企画。「自分のアイデンティティーをいかにクリエイティビティーの中に出せるか」を常に意識する。「音楽を書くことは苦しみ。葛藤がないと書けない。」と言う時、柔和な表情が一瞬引き締まった。一流の音楽家がしのぎを削るニューヨークの緊張感あふれる環境での活動は「使命」と感じている。名古屋市出身。(小味かおる)

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Photo: Satoshi Takeishi