クイックUSAアメリカの人事部(20)

従業員の採用をリモートで行うときの注意点(その1)

 皆さんのオフィスがいまだクローズ状態となっていて、基本的に従業員の方々すべてが自宅でのリモートワークとなっている日系企業様はまだまだ多くあるのではないかとお察しいたします。そのような環境下にありましても、企業によっては今後も人材の採用を続けていくこともあり、その場合の採用も好むと好まざるとにかかわらず、リモートでの採用方式を取ることにならざるをえない状況だと思われます。    

 有り難いことに今ではZoom などを使って遠隔地にいる人々といとも簡単に画面と音声とを通じて即座につながることができますので、採用面接ももはや対面式にこだわる必要はありません。ですが、対面で行われてきた面接とリモートによる面接とではどのような点に気をつける必要があるのか、やはりそこにはいくつかの違いがあるように思われます。    

 まず何といっても決定的に違うところは、リモートではテクノロジーによって面接が成り立っているということが挙げられます。Zoomなどウェブ会議方式のプラットフォームによるつながり自体がテクノロジーですが、さらにそのつながりを可能としているWiFiなどの通信回線環境、そして皆様がお使いのPCなどのハードなどもまさにテクノロジーだと申し上げられます。これらどれかひとつでもうまく機能しないことがあれば大事な面接が突然続行不能となってしまうことがあり得ます。そしてそのような事態は事前に予期することもできないのが普通です。    

 リモートで働くということは、まさにそのような不確定要素を抱えた環境下で働くということではないかと申し上げても過言ではないと思います。そういった何らかの予期せぬトラブルが発生した際に、パニックにならずに冷静になって問題の所在を突き止め、代案となる措置がすぐに取れ、面接に無事戻れるかどうかは、やはりその人の資質や器量をはかる上で大いに参考となる部分ではないかといえます。これは本来の面接で尋ねる質問自体とは直接関係のない副次的な産物だといえますが、むしろリモートで働いてもらう際の本質を突く現実に根ざした勘所に直結するものと申し上げてもよいでしょう。    

 そして予期せぬトラブルがリモート上で発生してもそれを解決できるだけのテクノロジー、ここでは主にIT関係になりますが、そういったITのリテラシーを備えもった人物であるかどうかを確かめることもできるわけです。ITリテラシーを備えるにはそれなりの失敗も含めた豊富な経験があってこそ初めて培われるものだといえるので、履歴書だけではわからない、確かな証左をそこで見つけることができます。さらにトラブルが起こったという困難な状況下であっても動揺せずに問題点に的を絞って冷静に解決をはかれる人物であるかどうかも見極めることができます。(つづく)

(酒井 謙吉 パシフィックドリームズ社長)

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