検閲でも読んでほしい書籍

NY公立図書館が選んだ10冊 

 NY公立図書館(NYPL)は、全国的な学校や図書館での書籍検閲の高まりに抗議する新たなプログラム「バンド・ブックス(禁書)・チャレンジ」を発足した。同プログラムでは、ニューヨーク、ブルックリン、クイーンズ公立図書館の専門司書が、検閲対象になっている書籍のなかからニューヨーカーに借りて読んでもらいたい10作品を厳選して紹介している。

 リストには、ジョージ・オーウェン著の『1984年』や日系カナダ人作家のマリコ・タマキ著の『This One Summer』ほか、人種や性差別問題などを題材にした作品などが含まれている。また同プログラムの皮きりとして、1950年代のサンフランシスコの中華街を背景に伝統的な中国系の家庭に生まれ、女性に恋をする17歳の少女の物語、NYタイムズ紙ベストセラーにも選ばれた『Last Night at the Telegraph Club』(マリンダ・ロー著)の電子書籍を今月26日まで無料で貸出している。 

 米国図書館協会(ALA)の報告によると、LGBTQ+や人種、宗教、歴史など物議を醸しかねない内容に焦点を当てているという理由で、昨年は2019年の倍に相当する729作品が検閲対象、または学校や図書館で貸出禁止となった。NYPLは今年4月、大手出版社と提携し、検閲対象になった作品の電子書籍を同図書館の公式アプリSimplyEで全国的に無料で貸出す期間限定のキャンペーン「ブックス・フォー・オール」をスタートした。検閲対象にはヤングアダルト(YL)作品が多く、NYPLの分館は10代を中心に、同リストの作品を対象にしたブッククラブ読書会を提供していく。同プログラムやリスト、今後の関連イベントの詳細はウェブサイトnypl.orgを参照する。