おにぎりの魅力を紹介

学校と企業に配布、1か月間に 3000個
販路拡大目指す

 日本産米で作られたおにぎりの魅力をニューヨークの人々に訴求しようという官民連携のキャンペーンが2月から3月にかけて行われた。日本の食文化・ソウルフードである「おにぎり」は、日本産米の取扱いの拡大や裾野を広げるキーアイテムになるとして、在ニューヨーク日本総領事館とジェトロ(JETRO、日本貿易振興機構)ニューヨークが中心となり、「おむすび権米衛」「大戸屋」「マウントフジレストラン」「ジャパンビレッジ」「BentOn」「ライスファクトリー」、大手日系食品商社などが協力。キャンペーンの内容は「おにぎり弁当の配布」と「おにぎり体験イベントの実施」の二段構えだ。今回の取り組みから見えてきた、おにぎり普及の可能性に迫る。(写真:米企業 Capcoの皆さんも笑顔でおにぎりを頬張る)

日本産米の認知度向上

 ターゲットを、学校や都心部の企業などに定め、配布したおにぎり弁当の数は計約1500食分(おにぎり約3000個分)、配布先は計約25か所に上った。子どもから大人まで、初めておにぎりを食べるという人にも大好評。

 イーストハーレムの小学校での配布の際には、「美味しすぎて魂が天国へ飛んでいってしまいそう!毎日でも食べられそうだよ。日本に行っておにぎりの作り方を教えてもらいたいぐらい」と楽しそうに語った男の子もいた。

 欧米人は海苔が苦手といったイメージがある中で、「このおにぎりは海苔とごはんの相性がいいね」とコメントする女の子も。

 学校と企業に狙いを定めた理由について、総領事館及びジェトロの担当者は次のように語る。「学校への配布は、未来への種まき。企業への配布は、新たなランチオプションの提案。今回の取り組みを単発で終わらせないためにも、その先の、学校・企業のカフェテリア関係者への訴求を見据えている。将来的には、おにぎりがサンドイッチなどと同じようにどこでも手に入るようにしたい」

体験を通じて、記憶に残る味に

 おにぎり作り体験イベントは、ブルックリンの「ジャパンビレッジ」とニューヨーク州ヒルバーンの「マウントフジレストラン」の2か所で行われた。参加者の合計は100人以上に上り、おにぎりマスターのレクチャーを受けつつ、会場に集まった参加者たちは見よう見まねで工夫しながらおにぎりを握っていた。子供たちはもちろん、大人も一緒に必死になって三角形にしようと奮闘する姿が見られた。イベント後は「このお米はどこで買えるのか、家でもおにぎりを作ってみたい」と問い合わせる声も。ただ食べるだけではなく、体験とセットにすることで、日本産米の特徴や魅力などを知ってもらう工夫が見られた。

【おにぎり〜日本産米の相性】

 アメリカには、カリフォルニア産でも十分に美味しいお米がある中で、なぜ「日本産米」で作ったおにぎりなのか。今回の取組みに参加した事業者は「日本産米は冷めても甘味が持続するという特徴がある。おにぎりやお弁当など冷めた時に食べるものとの相性はいいと思う。寿司やラーメンに続いておにぎりブームは確実に来る」と力強く語った。

 また、別の事業者からは「カリフォルニア産米の価格は年々上昇しており、日本産米との価格差はかつてほどなくなってきている」との声も。普段はカリフォルニア産米を使っている人も、たまには日本を応援する気持ちを込めて、日本産米を使ったおにぎりを作ってみてはどうだろうか。