日米の透明性と説明責任の違い

 国会に大激震が起きています。4人の大臣が更迭され、国会議員4人が逮捕・立件され、自民党の麻生派以外のすべての派閥が解散します。派閥の政治資金パーティーの政治資金収支報告書への不記載や、パーティー収入の裏金化などの問題です。

 しかし、東京地検が大臣経験者多数の聴取を行ったにも拘わらず立件に至らず、世論の反発も買っています。

 第一の問題は、リクルート事件により1994年に成立した政治改革関連法で政治家個人への企業・団体献金を禁止したにも拘わらず、99年の法改正で政治家の資金管理団体への献金のみを禁止し、政党や政党支部への献金を容認したことです。関連法で合意した、当時の細川護熙首相と野党自民党の河野洋平総裁はこの法改正を厳しく批判しています。

 第二は、自民党幹事長が数年間で約五十億円近くを受け取っても、その使途が公開されない「政策活動費」のブラックボックス化です。

 第三は、記載漏れで事務局長は立件されても政治家の刑事責任を問えないのが現行法で、政治家も立件できる「連座制」を導入すべきとの世論が8割以上です。

 第四は、企業会計が「複式簿記」であるのに対し、政治資金処理は「単式簿記」であり、収入と支出だけが記載され資産・負債の残高が記載されないことです。「単なる不記載であって裏金ではない」との言い訳の根拠です。

 これに対し米国では、ウォーターゲート事件を機に制度改革を行っています。

 第一は、現金献金、外国人からの献金、迂回献金を含む企業献金の原則禁止と厳罰です。

 第二は、収支報告のデジタル化による報告義務と透明化による抜け道防止です。

 透明性と説明責任の確立している米国に対し、日本は抜け道と曖昧さの得意技を駆使しています。

Accountability(completely responsible for what they do and must give satisfactory reason)が説明責任と意訳され、形式的な国会答弁や会見のみで、責任の所在を曖昧に済ますことが日本のガバナンスの根本問題です。

 米国から与えられた民主主義を超えて、国民が自分の判断で参加する民主主義が必要です。首相を直接選挙で投票しない間接民主主義の下、有権者登録がなく18歳で自動的に選挙権が得られるのが日本の制度です。

 国民の力で、透明性と説明責任を実行する民主主義を勝ち取る時ではないでしょうか?

 ふじた・ゆきひさ=慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長。岐阜女子大特別客員教授。