敵は内なる恐怖 It Chapter Two

 小さな町デリーで子供が次々と姿を消し、気味の悪いピエロが殺人鬼として浮かびあがるスティーブン・キング著のホラーストーリー。映画は主人公らが子供時代だった頃と彼らが大人になってからの二部構成で、2017年に前編が公開され、本作は後編にあたる。
 監督は前作からの続投で「Mama」(13年)のアンディ・ムスキエティ。少年時代に弟を失ったビルにジェームス・マカボイ。ジェシカ・チャステイン、ビル・ヘイダーらが共演。殺人鬼ピエロ、ペニーワイズには前作同様ビル・スカルスガルドがハンサムな素顔にこわーい白と赤のメイクを施し、背筋が凍る不気味さを全開させる。
 ビルやビバリー(チャステイン)らルーザーズ・クラブの7人がペニーワイズをやっつけてから27年。その間、マイク(イザイア・ムスタファ)を除いては皆、デリーから離れそれぞれの道を歩んでいた。しかしデリーでは再び子供らの失踪事件が起こり始めていた。マイクはペニーワイズが戻ってきたのを察知し、昔の仲間たちを呼び集める。
 デリーと聞くだけで、彼らには学校でいじめにあったことやペニーワイズの恐怖が蘇ってくる。仲間と遊んだり笑いあった楽しい思い出も確かにあったが子供時代を懐かしむ余裕を持てないまま時が経っていた。悪の象徴であるペニーワイズを倒すことで自分たちの心の傷を葬り去れるような気がしていた。 
 図書館員をしているマイクの長年にわたるリサーチでペニーワイズ打倒の糸口を見つけることは可能だったがどこまで仲間の結束が守れるか、果たしてペニーワイズの魔力に打ち勝つことができるか。この時点でそれぞれの心の中に潜む恐怖が最大の敵であることは誰も気づいていない。
 見ている最中に何度、手で顔を覆ったか覚えていないほどグロテスクかつ怖いシーンの連続。それでも思わず爆笑する場面があるのがうれしい。
 なお、スティーブン・キングの物語はこれで完結だが、ムスキエティ監督によると過去にさかのぼり、プリクエルとしてベニーワイズの恐怖を描くことは可能とコメントしているそうで、シリーズ化に期待したい。2時間50分。R。(明)https://www.itthemovie.com/

■上映館■
Regal E-Walk Stadium 13 & RPX
247 W. 42nd St.
 AMC Empire 25
234 West 42nd St.
 AMC Loews 34th Street 14
312 W. 34th St.