第57回NY 映画祭開幕へ

「To the Ends of the Earth(旅のおわり世界のはじまり)」
© 2019 “To the Ends of the Earth” Film Partners / UZBEKKINO
 詳細はウェブサイト www.filmlinc.org/nyff2019/ を参照。

リンカーンセンターで10月3日まで

日本からメイン2作品

黒澤清、深田晃司監督

 NYで最大の映画イベントである第57回NY映画祭が27日(金)から10月3日(木)まで、リンカーンセンターで開催される。
 オープニングはマーティ・スコセッシ監督による3時間半のギャング映画大作「The Irishman』で、ロバート・デニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペッシ等が結集。中間ハイライト『Marriage Story」は離婚を控えたNYの夫婦(アダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンセン)を描くノア・バウムバック監督の作品。クロージングのエドワード・ノートン監督・主演による1950年代NYを舞台にした探偵物「Motherless Brooklyn」は、ブルース・ウィリス、ウィレム・ダフォー等の共演で、この重要スポットの3作すべてがアメリカ映画となった。それと共に最初の2作が配信会社ネットフリックス製作ということも話題である。
 ほかにも世界中から今話題の作品が揃う。韓国のボン・ジュノ監督、ソン・ガンホ主演の「Parasite (パラサイト 半地下の家族)」は、貧しい家族が豪邸を侵食していく姿を描く。セネガルの若い女性の彷徨のドラマ「Atlantics」のマティ・ディオプは、女優でもあるセネガル系フランス人女性監督である。南米ウルグアイの映画はほとんど見る機会がないが、金融業者の奮闘を描くフェデリコ・ヴェイロー監督の「The Moneychanger」が出品される。スペインのペドロ・アルモドヴァル監督の自伝的映画「Pain and Glory』はアントニオ・バンデラス主演である。
 メイン部門の日本映画は2本。黒沢清監督・前田敦子主演の「To the Ends of the Earth(旅のおわり世界のはじまり)』は、ウズベキスタンで日本のTVの旅番組を製作する一隊を描く。加瀬亮、染谷将太、柄本時生の豪華な脇役にも注目したい。深田晃司監督の「A Girl Is Missing(よこがお)』は、介護士(筒井真理子)がある事件をきっかけに次第に加害者に仕立て上げられていくサスペンスで、市川実日子、池松壮亮他共演。実験映画の部門 Projections で上映される西川智也の16ミリによる6分の短編「Amusement Ride』 は、観覧車の構造を探求している。(平野共余子)