茅葺きの里・美山(京都)

久保修ワールド2021
春夏秋冬 FEEL JAPAN NOW

 日本を旅していると城下町や街道筋の宿場町には面影を伝える町家や伝統建築物の町並みを垣間見ることが出来る。里山で目にする茅葺き古民家も数は少なくなっているが、岐阜県白川村・福島県下郷村大内宿など、地方にはまだ残っているところもある。

 スケッチを重ねていくうちに、同じように見えていた茅葺き古民家にも気候風土にあった屋根の形や大きさ・棟や軒の屋根を支える小屋組の構造など多種多様な住む工夫、知恵、匠の技などが随処にあることが分かった。

 僕が描いたこの作品は、茅葺き古民家がたくさんあることで知られる京都府美山町の初秋から晩秋。京都のほぼ中央に位置し、読んで字のごとく美しい山々に囲まれている。美山町は、現在でも茅葺き古民家に普通に人が住んで生活している。美山町では、茅替え職人さんが技術を伝承しており、数人の若い茅替え職人さんが増えたそうだ。職人が増えた事もあり、茅葺き屋根に戻す民家も出てきていると聞いた。

 やがてこの里にも雪が降る。まもなく冬支度が始まる。(くぼ・しゅう/切り絵画家/東京都在住)