伊藤詩織さん上映会でBlack Box Diaries語る

MoMA

 フリージャーナリストの伊藤詩織さん(34)が監督を務めたドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」の上映会が6日、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で行われた。会場は約400人の観客で満員となった。

 「Black Box Diaries」は、伊藤さんが自身の性被害について綴った著書『Black Box』を映画化した作品で、伊藤さん自身が監督を務めた。

 観客は真剣な表情で画面を見つめ、終了時にはスタンディングオベーションも起こった。

 上映後には伊藤さんとの対談イベントも開かれた。観客への感謝の気持ちと性被害で苦しんでいる人へのメッセージとして「一番大切なことは自分を信じることであり、生きていてほしい」と語った。

 上映会はニューヨークの他、3月10、12日にはテキサス州オースティンでも開催され、世界各国を回る予定だ。

 「Black Box Diaries」は、伊藤さんが元TBS記者から性加害を受けた2015年から、最高裁で勝訴が確定した2022年までの当時の映像と音声で記録し、編集したものである。 日本語と英語半々の構成で、英語が苦手な人でも観やすい映画となっている。映画中には、伊藤さんがホテルに連れ込まれた時の監視カメラの映像や警察からの電話音声なども流れる。

 伊藤さんの素顔はとても印象的で、日本の性犯罪について、改めて考えさせられた。1人でも多くの人、日本人、そして性被害に傷ついた人に届いて欲しい作品である。

 伊藤さんは英BBCなどの海外メディアで映像ニュースを発信している。2020年には、セクハラ被害を告発する「#Me Too運動」を日本で進めたことなどが評価され、米誌タイムの「世界で最も影響力がある100人」にも選ばれている。 (小林香菜子、写真も)