20世紀の日本のポスター展

広告と宣伝の歴史を紹介

 ポスターハウス(西23丁目119番地)で「メイド・イン・ジャパン・20世紀ポスターアート」展が開催されている。日本の象徴的な広告・宣伝ポスターのメッセージに影響を与えた近代日本の文化・政治の変化を浮き彫りにする73点の作品を紹介している。

 同展では、日中戦争、第二次世界大戦をはじめとする20世紀のポスターが紹介され、戦前・戦中のポスターは愛国心を鼓舞し、プロパガンダを流し、戦局を支えるために消費者の自制を促すようなイメージがデザインされている。第二次世界大戦後は、日本企業が世界的なブランドとなるにつれ、日本のアーティストたちが、日本の伝統的な美意識と西洋のデザイン様式をミックスした新しい形態のグラフィックメディアを考案していく変遷が作品とともに展示されている。亀甲雄策、田中一光、横尾忠則などのオリジナルのポスターが展示されている。20世紀末には、気候変動や世界平和といった社会問題を、日本のデザイナーがアートを通して取り上げるようになったことも紹介して入る。同展は9月10日まで。同ハウスは2019年に開設された新しい美術館。期間中、「ブラックパワーからブラックピープルへ・ ブラックパンサー党のブランディング」展も同館の春季の2大展示として併設され一般公開されている。 

(写真左)田中一光の作品 Nihon Buyo, 1981 Ikko Tanaka The Merrill C. Berman Collection

時代映す鏡としてのポスター
20世紀を語った日本のアーティストたち

 ポスターハウス(西23丁目119番地)で開催されている「メイド・イン・ジャパン・20世紀ポスターアート」展(1面に記事)は、戦前、太平洋戦争・第2次世界大戦中、戦後復興、高度経済成長、国際化、環境意識の台頭という日本の20世紀という時代を映す鏡としての宣伝・広告ポスターで100年を72枚の作品で構成した類稀な美術展だ。2019年に開館して程なくパンデミックとなってその存在はまだ余り知られていないが、マンハッタンの23丁目にある同館は、ポスターという媒体によってアートを表現し時代を物語る美術館であり博物館としてこれから多くの市民や世界の観光客が訪れる名所となりそうだ。

 今回の展示作品には、戦前・戦中のポスターは愛国心を鼓舞し、プロパガンダを流し、戦局を支えるために消費者の自制を促すような作品、第二次世界大戦後は、日本企業が世界的なブランドとなるにつれ、日本のアーティストたちが、日本の伝統的な美意識と西洋のデザイン様式をミックスした新しい形態のグラフィックメディアを考案していく変遷が作品とともに展示されている。亀甲雄策、田中一光、横尾忠則などのオリジナルのポスターがズラリと展示されているのは圧巻だ。同展を広報するルーベンスタイン社のケイト・ブラム・シニア・バイス・プレジデント=写真=は「20世紀の日本の歴史は激動の100年で、戦争を経て国際社会の一員として経済成長することを目指し、世界からの評価を求めるために走った時代がポスターに表されている。米国の60年代70年代の社会運動とも交差し広告を通して日本という国の20世紀を描けるような展示内容になっている」と話す。4月7日(金)には子供向けのアートワークイベントが開催され、終日入場無料となる。(三浦)


Poster House

119 W23rd St (Bet 6&7th Aves)

New York, NY 10011

Tel: 917-722-2439

月・火・水は休館

木・金・土・日 10:00~

https://posterhouse.org/