沖縄伝統舞踊と音楽

NY公演について語る嘉数監督

ニューヨーカーを魅了
ジャパン・ソサエティーで公演

 沖縄返還50周年記念公演「時を超えた波音 沖縄の伝統舞踊と音楽」が18、19の両日、ジャパン・ソサエティー(JS)の劇場で開催された。前半では琉球王国(1429〜1879年)後期から300年にわたって継承されてきた宮廷の歌舞劇「組踊(くみおどり)」=写真上=演目から名場面集を、後半は明治以降に生まれた民衆の雑おどり(ぞうおどり)や創作舞踊からなる演目を、国立劇場おきなわ芸術監督の嘉数道彦(かかず・みちひこ)氏(42)の監修・構成で、ライブの演奏家を交えて上演した。

 ステージは、1時間40分をたっぷりと使い踊り手5人と音楽家6人が、沖縄の音楽、舞い、パフォーマンスでニューヨーカーを魅了した。両日ともに265席が満席となった。(写真上:厳かで煌びやかな舞い Photo Maria Baranova)

 今回の公演はジャパン・ソサエティーがグリーンビル(サウスカロライナ州)、ワシントンDC、イーストン(ペンシルベニア州)、シカゴなど5都市の巡回ツアーを主導した。

 自らも出演した芸術監督の嘉数さんは「とても真剣に見てもらって嬉しかった。言葉の方言がうまく伝わるか心配だったけれど字幕があったのでうまく伝わったようだ」と話す。

 観客のスーザン・マコーマックさんは「パワーとエレガンスのバランスが絶妙なパフォーマンスでした。ダンサーの動きも、ミュージシャンの音楽も、ひとつひとつが見事に表現されていました。それぞれの曲を通して、組踊や象踊りのスタイルを学ぶだけでなく、琉球王国と沖縄の痛ましい歴史と、その歴史がどのように芸能を形成したかを垣間見ることができました。沖縄のハーフとして、誇らしい気持ちでいっぱいです」と語っていた。

 ジャパン・ソサエティーでの公演は2000年、2004、2015年に次いで4度目だが、沖縄芝居という海外には出たことのない演目が今回上演された=写真下=。能に狂言があるように庶民の笑いを生かした舞台に会場から歓声が上がった。「アメリカ人の人たちが一緒に盛り上げ一緒に楽しんでもらえた実感を得られた」と嘉数監督が話すとJSの芸術監督の塩谷陽子さんも「パフォーミングアーツは、演者がいいと、いいものを見せてもらったという気持ちになる。村人の楽しい生活をミュージカル仕立てにした卓越した芸だった」と絶賛した。

大好評だった庶民の生活を描いた沖縄芝居 Photo Maria Baranova

 嘉数監督は「沖縄芸能は、海外の影響を受けながら形成された歴史もあり、できるだけ良いものをできるだけ良い形で県外の人に伝えていきたい。沖縄復帰以降、県立芸術大学、国立劇場ができて組踊を学ぶことが広くできるようになった恵まれた世代に私たちはいる。今回はそんな同世代の力をつけてきているメンバーで来ることができている。皆、沖縄の芸能に対して強い情熱を持っているので、残る舞台も愛情を持って演じあげることができれば観客にも伝わるのではないかと思います」と話した。(三浦)