編集後記 7月24 日号

【編集後記】
 みなさん、こんにちは。今日、日本で東京オリンピックの開会式が行われます。東京でのコロナ感染が拡大し、緊急事態宣言下での無観客での開幕です。その開会式の前日、日本時間の今日、22日には東京五輪・パラリンピック大会組織委員会が、開会式と閉会式の演出ディレクターの小林賢太郎氏(48 ) を解任しました。小林氏がお笑いコンビ「ラーメンズ」時代の1998年に「ユダヤ人大量惨殺ごっこ」と発言したコントがネットで拡散、米国ユダヤ人団体の「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が非難声明を出し、委員会が即断で解任しました。19日には五輪開会式で音楽を担当していた小山田圭吾氏が学生時代の障害者いじめを理由に引責辞任したばかり。これで五輪関係者の辞任は8人目。一方、選手村からは、部屋にテレビも冷蔵庫もない、4、5人部屋でトイレは一つ、ベッドは段ボール製で、21世紀の日本とは思えない、中世の日本に来たみたいだとロシアの記者からの発言に「それは知りませんでした」という内容の橋本大臣の答弁。選手や外国プレスは隔離ホテルを勝手に出てはいけないはずなのに, コンビニでの弁当の買い出しに15分だけなら買い物に出てもよしという看板がロビーに出て、しかも外出の回数には制限はない。ロービーに座っている監督者の許可を得れば出てもいいとしながら、監督者という名前の警備員は「自分から声をかけることはないので、声をかけられれば答えるだけ。なので黙って出て行かれるとどこへ行ったかは分からない」という始末。これを改めてはどうかと記者団から詰め寄られた丸川五輪相は「もう選手たち来ちゃってるから」と答えた。今から30年以上も前にモスクワと当時のレニングラードへプレス招待旅行で行ったことがあるが、現地のホテルではインツーリストの公務員がホテル各階のエレベーターの前に机をでんと構えて、出入りに目を光らせて厳格にチェックされたのを覚えている。これとはどうやら大違いのようだ。本来ならコロナでできないところを無理矢理実施するオリンピックだから、これからも予期せぬハプニングが起こることは容易に想像できる。本日22日付のニューヨークタイムズの1面に「新生日本の象徴だった1964年の東京五輪、2021年その精神に陰り」という記事が掲載された。キャロル・グラック・コロンビア大学教授が「日本にはまだ潜在的能力(ポテンシャル)はあるが、それに気がつくのが遅ければ手遅れになる」と述べている。五輪大会は世界の強豪選手たちが競う頂点の場だ。そこで繰り広げられる感動の試合やドラマが、開会式までのすったもんだのドタバタ劇場を払拭してくれることをただただ願うばかりだ。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)