編集後記 2022年6月18日号 

【編集後記】 みなさん、こんにちは。今月12日から米国に入国するためのPCR検査が不要となりました。決してコロナ禍が終息したわけではありません。マスクを外して歩く人が大半になっても、状況が変わればまた規制措置を復活させる余地を残してのコロナとの共生、いわばwithコロナ政策と言えます。一方、中国と北朝鮮はゼロコロナ政策を掲げ、数十人の感染者が出たという理由で上海の大都市を封鎖して市民はアパートの部屋から外出もできない生活を強いられています。考え方の違いですが、ゼロか100かという選択ではないと思うのですがどうでしょう。ニューヨークではかなりの人出が戻ってきていますが、9日付ニューヨークタイムズの記事によると全米的にオフィスに人を戻している企業はまだ全体の43%だそうです。その記事によると大手も含め、経営者は従業員をオフィスに戻したいと考えているようです。「大多数の米国人、特にサービス業や低賃金労働者は、パンデミックの間中、対面で仕事をしてきた。しかし、リモートで働ける人たちは、その柔軟性に愛着を感じはじめ、ピューリサーチセンターが1月に行った調査では、自宅で仕事ができる労働者の60%が、ほとんど、あるいはすべての時間をリモートワークで過ごしたいと考えていることがわかった」と報じてます。まあ100%、月曜から金曜までフルに会社に出てきてと、この時期に従業員に強要することはできなくても、だからと言って「もう自宅で仕事ができることがわかったんだからオフィスなんかいらないでしょ」なんて声に素直に賛同する気にもなれないです。800人規模の人工知能企業C3 AIのCEOであるトム・シーベルさんは、昨年6月に従業員にフルタイムでのオフィス復帰を要求し「Zoomで在宅勤務をしたい人には、そういう会社がありますよ。Facebookで働けばいい。Salesforceで働けばいい。週に一度、Zoomで会議をするような人たちが、自ら着陸するようなロケットを発明することはできない。成功するまで、部屋に集まってホワイトボードに向かって、何度も何度も失敗を繰り返さなければならない」とまあ、科学者らしい意見を言ってます。本紙今週号経済面(8面)クイックUSAアメリカの人事部の連載記事で、山口 憲和 Philosophy LLC 代表がこんなことを言ってます。「リモートワークとオフィスワークの報酬に差がつくことがあるかもしれない。この場合、リモートワークとオフィスワークの仕事の違い(Job Descriptionの違い)について明示しておくことが必要だろう。リモートワークでは明らかにオフィスワークよりも仕事の幅が狭い、あるいは仕事内容に求められる役割が少ない等文書で明示できる差が報酬(固定報酬)の違いを説明可能な状態にすることが必要だ」と。2年以上に及んだパンデミック生活。在宅勤務の人は、一日中パジャマ姿でパソコンに向かっていた日も、振り返れば1日、2日はあったのではないでしょうか。片一方の生活様式だけを全てにするのではなく、オンとオフをうまく使い分けて生きていく、コロナも仕事も、極端なやり方は、放っておいてもいずれ振り子が自然に真ん中で止まるようには思います。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)