編集後記  3月12日号

【編集後記】
 みなさん、こんにちは。「モスクワは涙を信じない」(原題:Moscow Does Not Believe in Tears )は1979年に製作されたソビエト連邦の映画。ウラジミール・メニショフ監督の作品で1981年に全米で公開され、翌年のアカデミー国際長編映画賞に輝いています。社会主義体制の中でも幸せを見つけ、ひた向きに生きる3人の若い女性たちのそれぞれの人生を描いた作品。そのソ連から分離したウクライナが今、ロシアの侵攻を受けています。小さな子供たちを抱えて国境を越える母親たちの表情が映画の中の女性たちとダブります。今はただ涙をこえて。200万を超える難民の数は、日に日に増していて、今日9日、子供たちの国外退去命令をウクライナ政府が出しました。22世紀の現代にこんな暴挙がまかり通っているとは。自国の中の政権混乱ならミャンマーや香港、シンガポールなどがありますが、他国が軍事侵攻しての政権転覆はこれはまさしく侵略戦争です。国連安保理で拒否権を持つ常任理事国の大国自らが国連の無力を証明しています。中国など片手に満たない数か国を除き、全世界から四面楚歌となるロシアの明日もまた国民にとっては地獄でしょう。エンパイアがウクライナ国旗のブルーと黄色に染まる日は、これからも何度もありそうです。「ウクライナは涙を信じない」Ukrainian Does Not Believe in Tears. それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)