コロナの水際対策11日から大幅緩和

入国者数上限撤廃
個人旅行とビザ無し渡航解禁

岸田首相がNYで発表

 岸田首相は、9月22日にニューヨークのパークレーンホテルで開催された内外記者会見で、10月11日(火)から、水際対策で現在1日5万人としている入国者の上限数を撤廃し、パケージツアーに限定されている観光客についても個人旅行客の渡航を解禁、また訪日に関する現在のビザ取得規制も解禁すると明言した。また同10月11日から「全国旅行割」と「イベント割」を開始すると発表した。「多くの方に活用してもらうことで、コロナ禍で苦しんできた宿泊業、旅行業、エンタメ業などを支援して行きたい」と発言した。近く日本の政府・関係省庁から正式な水際対策として発表される予定。

 パンデミック以降、日本のコロナ対策は、ほぼ鎖国に近い状態で国外からの入国者制限をしてきたが、今年春に入国拒否対象国を撤廃、9月7日からはワクチンを3回打ったことを条件にPCR検査を免除するなど段階的に水際対策を緩和してきた。しかし、G7(先進7か国)のうち、入国数上限を設定しているのは現在日本だけとなっている。

 日本国内の観光地は、円安になってドルを日本円に換金して買い物をする米国からの旅行客に期待が高まりそうだ。全日空は日米間の座席予約状況が7月までの水準と比べ1・4倍の予約に増加して満席状況が続いているため、一部のホノルル線とビジネス中心のニューヨーク線を除く米国内主要都市と日本との運航便数を10月から徐々にパンデミック前の状態に戻す。来米日本人観光客は、円安傾向の余波を受け、どこまで戻るかは不透明だが、日本行きを躊躇していた外国人旅行者を取り戻すことには大きなプラスに振り子が動くことになる。 

 記者会見会場で、首相登壇前に配布された内外記者会見の冒頭発言資料の中には、旅行関連の部分で10月11日に明記されていたのは「全国旅行割」と「イベント割」の開始だけで、「入国数上限撤廃」「個人旅行の規制解禁」「ビザ無し渡航の解禁」は記載されていなかった。岸田首相があえて「記者発表」の形でこの3点について11日に実施すると明らかにしたものとみられる。前日にカーネギーホールで開催された農林水産省主催のレセプションでも水際対策の詳細と明確な開始日については公式発表はしていなかった。 

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