政権協力にNO  連邦地裁がNY市の移民保護政策支持

トランプ政権の訴え退ける

 ニューヨークの連邦地方裁判所は10月15日、ニューヨーク市が実施している、連邦移民当局による取り締まりへの市の協力を制限する「サンクチュアリ・シティー(移民保護都市)」政策の無効化を求めたトランプ政権の訴訟を退けた。連邦政府が州や地方自治体に対し、移民取り締まりへの協力を強制することはできないと判断した。

 ブルックリンの連邦地裁のラモン・レイエス判事は、連邦政府には市の政策を争う法的資格がないと指摘。さらに、連邦法が州や自治体に移民法の執行への参加を義務付けているわけではなく、市職員や市の財源を連邦政府の取り締まりに動員させることは、連邦政府による州への権限侵害を禁じた憲法修正第10条に反すると判断した。

 ニューヨーク市の移民保護政策は、市警(NYPD)や市矯正局(DOC)などが、連邦移民・税関捜査局(ICE)の要請だけで移民を拘束したり、釈放予定日や所在などの情報を提供したりすることを制限している。市は2014年に関連法を強化し、移民が強制送還を恐れずに警察や行政サービスを利用できる環境づくりを進めてきた。

 一方、トランプ政権は昨年7月、市の政策が連邦移民法の執行を妨げ、犯罪歴のある不法移民の拘束や送還を困難にしているとして提訴。連邦法が地方の法律に優先すると主張していた。

 判決を受け、ゾーラン・マムダニ市長は「ニューヨーカーにとっての勝利であり、ICEの強制送還政策に対する拒絶だ」と歓迎。市職員を強制送還の実行役にすることは認めないと強調した。

 トランプ政権は全米各地で同様の移民保護政策を争っているが、ボストンやニューヨーク州ロチェスターなどでも訴えが退けられている。ただし、今回の判決はICEによる市内での独自の取り締まりを禁止するものではない。サンクチュアリ・シティーだからといって不法滞在者が強制送還されないわけではなく、 ICEはニューヨーク市内でも独自に移民法を執行できることに変わりはない。判決時点では連邦政府が控訴するかどうかは明らかにされていないが、連邦政府と地方自治体の対立は今後も続くとみられる。