国連に響く平和の鐘

「戦争のない世界に」高瀬さん

 国連平和デー(9月21日)を記念して、国連本部で「平和の鐘」をアントニオ・グテーレス国連事務総長と、第77代総会のチャパ・クールシ議長が鐘を突いた。式典には、石兼公博国連大使夫妻、日本から来米した高瀬聖子国連平和の鐘を守る会代表、泊三夫理事が出席したほか、アミーナ・モハメッド国連副事務総長、メリッサ・フレミング国連事務次長、コーテナリー・ラトレイ国連官房長、平和の鐘が設置されている国連本部の日本庭園の移築改修工事を手がけた造園家の阿部紳一郎氏が参列した。2022年の国際平和デーのテーマは「End racism」(人種差別を終わらせる)。

 国連平和の鐘は、日本が第二次世界大戦後10年を経て1956年に国連加盟するその2年前に、宇和島市長を務めた中川千代治さん(故人)が、世界のコインを集めて日本で鋳造した鐘を個人で国連に寄贈したもので、現在、192か国が1か国につき1つ寄付できる国連敷地内の公共建造物の中でも、本部正面前の日本庭園に設置され、日本からの国連への贈り物として大切に扱われ、毎年1度、国連平和デーに歴代の国連事務総長と国連総会議長が鐘を打っている恒例行事となっている。日本が世界の国連大使たちに対して平和を主導権を持って訴える絶好の機会となっている。式典そのものは国連本部が主催するが、毎年、招待される各国大使とは別格に日本政府国連代表部の国連大使がホスト役として列席する。コロナ禍で今年も入場制限して関係者のみの式典となった。

(写真上、世界平和デーを記念して国連平和の鐘を打つグテーレス国連事務総長、UN Photo/Mark Garten)

 高瀬さんは「平和の鐘の式典に毎年参加させていただき、世界の平和を祈っていますが、今年は世界が不安定な状態になっていて各地でぶつかり合いが起こっていて切なくなるが、それでも諦めないで鐘を打ちますし、平和を祈りたいとい思います」と話している。平和の鐘を守る会は、国連の民間NPOで、鐘のミニチュアを世界各国に寄贈する活動を続けている。国連の平和の鐘は、1970年の大阪万博の国連館でも姉妹鐘が展示されており2025年に開催される大阪万博でも平和の象徴として大役を期待されている。

式典後に挨拶を交わす高瀬聖子国連平和の鐘を守会代表(写真提供・国連代表部)