眞子さん安全に赤信号

住居近くで銃犯罪対策強化

ガーディアン・エンジェルスが巡回出動

 ニューヨーク市の治安悪化に伴い、市はヘルズキッチンの一部を含むタイムズスクエアの公共施設や商業地区での銃の持ち込みを禁止する措置をこのほど発表した(別稿参照)。同地域は、昨年11月に来米した秋篠宮家の長女で元皇族の眞子さんと小室圭さん夫妻が住むアパートに隣接しているエリア。治安悪化の中で、もし眞子さん夫妻が事件や事故に巻き込まれたらどうなるのか。皇室を離れ、一般人となった身分のため、表立った要人警護はなされていないとされるが、実態はどうなのか、一切明らかにはされていない。

 そんな中で、ニューヨークで発足した自警防犯組織ガーディアン・エンジェルスがウエストサイドやヘルズキッチンの巡回パトロールを強化するとこのほど発表した。同組織の日本代表で、30年前にNYで隊長を務めた小田啓二さん(50)が、同組織のトップであるカーティス・スリワ代表に治安悪化地区の中心部に日本の元プリンセスが住んでいることを伝えたところ、アパート近辺をパトロール地区に含めることを決め、5日、小田さんの案内で一帯を視察した。歩くとシェルターの外にいた警察官がスリワ代表に挨拶して立ち話が始まる。スリワ代表は、昨年のニューヨーク市長選挙で共和党選出の候補となった人物で顔が広く警察官からの信望も厚い。「警察出身者が市長になったのに以前より治安が悪化して最悪だ。路上生活者のためのシェルターがあちこちの住宅街にできて市民生活が脅かされ、安全ではなくなっている。日本の元プリンセスがこの辺に住んでいることをさっきの警察官たちは知らなかったよ」と話す。

 現在は日本企業の駐在員としてNYに滞在する小田さんは「安倍元総理が奈良市内で選挙演説中に暴漢に銃撃されて死亡する事件が起こり、警察庁は、改めて要人警護のあり方を全面的に見直し全国の警察に通知した。昭恵夫人にも今は警護がついている。悲劇を二度と繰り返さないための今後の対策だが、NYの眞子さん夫妻の場合は、事件が起こったら、あとがない。日本人観光客がタイムズスクエアで窃盗被害に遭って、以後気をつけましょうと注意を喚起するのとは訳が違う。事件が起こってからでは遅いんです。我々は自主的に活動する米国のボランティア組織で日本の税金を使うわけではないのでどこからも文句は来ないでしょう。所轄の警察とも関係は良好です」と話す。NY市の防犯NPOが、眞子さんの自宅周辺の巡回パトロールを関係者として公言するのは初めて。現在隊員は200人。担当班は眞子さんの顔写真のコピーを持ちパトロールするという。

 8月31日午後7時21分、眞子さんの家に近い西50丁目10番街近くで28歳の男性が背中を、また午後8時ごろに西47丁目7番街で33歳の女性が胸をナイフで相次いで刺された。警察は同一犯として捜査、49丁目10番街のシェルターに住むニコラス・オキーフ(33)を襲撃と武器不法所持で逮捕。凶器はステーキナイフだった。眞子さんが買い物に行くとされるアーミッシュマーケットは家から3ブロックしか離れていないこのシェルターの前を通る。5月にも同地区で男性2人が銃で撃たれて死亡する事件があり、同月、眞子さん夫妻が住むアパートの玄関前で銃撃事件が発生、男性1人が負傷している。市では自家製銃の規制にも乗り出している。

(写真上)眞子さんのアパート前を視察するスリワ代表。後方が小田さん(5日、写真・三浦良一)

タイムズスクエア、銃所有禁止ゾーンに指定

NY州知事と市長が共同記者会見

 キャシー・ホウクルNY州知事は8月31日、マンハッタンの事務所でエリック・アダムスNY市長と共に記者会見を行い、NY市内のタイムズスクエアをはじめとする「センシティブ・ロケーション(慎重を期する区域)」での銃の所有を禁じる「ガン・フリー・ゾーン」の導入を発表した。 

 合衆国最高裁判所は今年6月、NY州で109年続く銃免許の発行を制限する「サリバン法」に対し、合衆国憲法修正第2条に違憲するという判決を下した。その結果、前科が無ければ誰でも銃所持免許の申請ができるようになり、実際に申請者は増加しているという。同判決を回避して同州議会が可決し、今月1日に執行した「ガン・フリー・ゾーン」法の対象には、学校や病院、裁判所、公共交通機関、公園、タイムズスクエアやヘルズキッチンの一部(6〜8番街の西40〜53丁目、8〜9番街の西40〜48丁目)のような人が密集する公共区域が含まれる。指定区域では、常駐やパトロール中の警官を除き、同免許の有無を問わず銃の携帯は禁じられ「違反者には重罪が課せられる」と大きく警告標識が掲げられている。また個人事業者も、社内や敷地をガン・フリー・ゾーンとし、入口に方針を掲示できる。 

 新たな同銃器所持取締法には、銃携帯許可証の申請者の身元確認の強化、安全訓練と実弾射撃訓練の義務付け、面接、過去3年間以上のソーシャル・メディア利用履歴の提出、半自動火器の購入年齢を21歳以上とする、なども含まれている。同新法に対して、銃器所持の権利を主張する運動家たちが訴訟を起こす可能性が高いが、ホウクル同州知事は「重要視すべきことは、公共の場には従わなければならないルールがあるということを銃器所持者に教育することだ」と話している。 

自家製銃の押収急増

3Dプリンターで部品製造

 ニューヨーク市警(NYPD)32分署は1日、シリアルナンバーや識別マークがない自家製銃器「ゴーストガン」を携帯していた人物を逮捕したと発表した。ゴーストガンは製造工程の追跡が不可能なキットや自家製銃で、今年8月15日までに、222丁が押収されている。これは前年の102丁に比べ118%の増加。転売前に身元調査を行う必要がなく、オンラインで購入でき、自宅で3Dプリンターなどを使用して組み立てることができる。米司法省は2021年に全米で1万9000丁以上のゴーストガンを摘発したとしており、この数は過去5年間で10倍に増えた。現在、アルコールたばこ火器及び爆発物取締局(AFT)は取り締まり強化のため、銃器販売業者に3Dプリンターや番号化されていない銃器にシリアル番号を追加するよう求めている。

(ワインスタイン今井絹江)