国連の日本庭園 京都風の品格に

国土交通省から造園指導員

 国連本部正面に日本庭園がある。ボストンの造園家、阿部紳一郎さん(68)が1999年に作った庭園だ。真下が会議場になっているため、大きな岩や石を地中に埋めることができず、石の下を切って平らにして置く形で庭を作ったという。設置当初はなかなか紅葉しなかったそうだが、2年前の天皇陛下ご訪米の際にはここを訪れ、敷地内にある平和の鐘をご視察、美しい紅葉に包まれたそうだ。
 国土交通省と外務省は、3年前から海外にある日本庭園の再生プロジェクトを始め、世界に約500か所近くある日本庭園から選んで年6〜8か所の再生指導を行っている。
 国交省から委託を受けた日本造園建設業協会の国際委員長、山田拓広さん(55)が今回、国連の日本庭園の再生指導のため派遣された。オリジナルの庭園を作った阿部さんが経営するZENアソシエイツのマイケル・スミスさん、ジャスティン・クーニさんのスタッフに剪定指導をした。
 山田さんは「日本庭園を通して、世界平和の精神をこの国連の場から発信してもらえたら嬉しい」と話し、阿部さんは「指導を受けて京都の日本庭園のような品格が出てきた。さすがです」と喜んでいた。同庭園では毎年国連総会の初日、国連事務総長が平和の鐘を打つ式典があり、今年も今月20日に行われる。
 9月20日の式典で、日本が国連に加盟する2年前の1954年に平和の鐘を寄贈した中川千代治さん(故人)の娘で一般社団法人「国連平和の鐘を守る会」の代表、高瀬聖子さんが来米し、同日午後ニューヨーク市内の日本食レストラン「あずさ」で講演会を開催する。参加無料。定員20人。申し込みはEメールでykadota@msn.com(門田さん)宛に申し込む。講演は日本語で行う。

(写真)阿部さん(左端)と作業を指導する山田さん(左から2人目)