日本クラブ友情の手助け

NY日系人会の水漏れ被害で

「場所使って」提供申し出
「敬老会ができる」JAA安堵

 ニューヨーク日系人会(JAA、佐藤貢司会長)が入居する12階建てビル(西45丁目49番地)で大規模な浸水事故が発生してまもなく3週間。上階のタンクが破損し、大量の水で12階から7階までが水浸しとなり、JAAのある11階全フロアが事務室を除いて今も使えない状態だ。JAAでは来年1月に移転を予定している5階への入居を早めてもらうようビル管理会社と交渉しているほか、保険会社との手続きに追われている。完全ではないが、ホールの一部は10月くらいからは修理して使用が可能になる見込みだが、8月いっぱいの行事予定はすべてキャンセルとなり、9月開催予定のサクラヘルスフェアもすべてオンラインでの開催に切り替えた。日系高齢者に向けて毎月開催しているランチ敬老会も8月は見送った。9月以降の開催は、場所の確保が問題となっている。リースが切れる年末までの会場フル稼働が難しいとみられるからだ。

 日系人会の事務局に日系3団体で共に名を連ねる、日本クラブとNY日本商工会議所(JCCI)から、日系人会の活動で必要な場所を提供したいとの申し出があった。8月18日に前田正明事務局長から日系人会に正式に連絡があった。両団体名で正式のお見舞いの言葉と今後の提案として、日本クラブ会館スペースの提供で協力したい旨申し出があり「日頃のJAA活動でスペースが必要で、日本クラブの空いている部屋を予約状況に応じて提供したい」というもの。今月いっぱいは、館内清掃と修理のため閉館しているが、9月以降については予約が可能であることを伝えた。また「その他、当方でできることがあれば、遠慮なくお知らせください」と支援の手を差し伸べた。

 JAAの野田美知代事務局長は「本当にありがたいご提案で感謝しています。これで9月の敬老会ができるかもしれない。日系人会のメンバーの人たちも、ホールが閉館しているのを知っていても毎日のように訪ねてきて、中にはお金までおいていく人もいて、こんなに沢山の人たちに心配してもらっているんだと実感しました」と喜んでいる。敬老会についてはニューヨーク日本総領事館とも連携し近く関係団体の担当者が集まり会合を開く予定だ。

 また、ジャパン・ソサエティーのジョシュア・ウオーカー理事長も19日夕、野田事務局長とスーザン大沼名誉会長に「この度はNY日系人会のビルが被害に遭われたことを知り、心を痛めています。弊会に何かできることがあればご協力させてください。コミュニティーの場が一日も早く復旧することを祈っています」と支援の準備があることを伝えている。ジャパン・ソサエティーはアメリカの団体だが、日頃日本文化を米国に紹介することを目的に活動しているため、黙って放っては置けないと歩み寄っている。ただ9月は国連総会と重なり、ジャパン・ソサエティーの施設に予約が入っていることもあり、日系人会の行事予定とジャパン・ソサエティーの状況など、両団体の役員を兼務している弁護士の村瀬悟さんが間に入って現在調整している。村瀬さんは「クラウドファンディングを立ち上げて支援を求めるなどすぐアクションをとれればいいが、保険会社との手続きがまず終わらないとそれもできないようだ」と話している。いずれにしても、さまざまな活動を通してニューヨークの日系社会の中心的集会場となっている日系人会のピンチに日系社会各方面から手が差し述べられ「困った時はお互い様」の助け合い精神で声を掛け合っている。NY日系人会館は、今月1日の水漏れで図書室、廊下などの天井板が剥がれ落ちるなどの被害を受けた。事故当時は夜中で人がいなかったため、幸いケガ人はいなかった。またピアノと日系人会の100年の歴史を保管してある資料室のダンポール箱が濡れずに無事だった。電話、インターネットも現在は使える状態に復旧している。

(写真)水漏れで天井が剥がれ落ちた日系人会ホール(今月1日、本紙撮影)