編集後記 8月15日号

みなさん、こんにちは。15日は終戦記念日。広島、長崎の原爆投下、終戦から75年の節目の年に世界を新型コロナウイルスの禍が襲いました。いま世界は、目に見えない新たな敵との戦争の真っ最中です。4か月間、世界の人々が最高の健康水準に到達することを目指す国連の専門機関、WHO(世界保健機関)は、年初中国を擁護して迷走、国際的な非難を浴びました。米国ニューヨークに本部を置く国連はパンデミックにより、オンライン・リモートで9月の国連総会を開催することを決めました。日本が1956年に国連に加盟する2年前に、一人の日本人、中川千代治なる人物の善意と行動力で寄贈された平和の鐘は、現在国連本部の日本庭園にあり、毎年、「国連平和デー」と重なる9月21日の国連総会初日に加盟各国の国連大使らが列席する中で国連事務総長とその年の本会議義長が鳴らしてきました。セレモニー自体は国連事務局の主催ですが、その幽玄な鐘の音は、日本の世界へ向けた平和を願うメッセージとしても響いてきました。日本政府国連代表部によると、現時点で国連事務局から今年の平和の鐘の式典への招待の連絡は受けていないそうです。式典が中止になる可能性もありますが、オンラインで始まる国連本会議であっても平和の鐘の音だけは変わらずに響いて欲しいものです。一般社団法人 国連平和の鐘を守る会(本部東京)代表の髙瀨聖子さん(国連平和の鐘創始者、中川千代治の6女)は、外務省に「今年はコロナでいつもの様な式典は出来ないと承知しております。しかし、どんな形でも平和の鐘を鳴らして頂きたいと願います。グテーレス国連事務総長に今年も鐘を撞いて頂ければどんなに幸せか知れません。もし無理であれば、代理の方が撞いて頂ければ。無観客になると思いますが、今だからこそコロナの収束を祈り、世界平和を祈って平和の鐘を鳴らして頂きたい。国連の平和の鐘の音を絶やすことの無いよう、どうかどうかお願い申し上げます」と手紙を出しました。外務省本省からNYの日本政府国連代表部にも今頃連絡が入っていることでしょう。さてここからは国連代表部の腕の見せどころです。もしグテーレス国連事務総長が不在とかで鐘を打てない場合は、日本政府の国連大使が打ってはどうでしょうか。日本が寄贈した鐘ですし。平和デーに平和の鐘を鳴らすこと自体に異を唱える人はいないのではないでしょうか。終戦から75年目の夏。あの鐘を代理で鳴らせる人は、他にはいない。違うでしょうか。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)