コロナ禍の東京五輪、日本メダルラッシュか

 新型コロナウイルスの影響で1年延期された東京オリンピック・パラリンピック(以下東京五輪)が7月23日に開幕する。日本では新型コロナウイルスの新たな感染拡大の波が起きているため観客制限を行う。すでに海外観客の受け入れは3月には断念すると発表。政府のイベント制限方針である「定員の50%以内で最大5千人」に従い観客5000人以下の場合はそのまま会場に入れ、5000人を超える開閉会式や野球、陸上などの大規模会場と午後9時以降の競技を無観客にする。このため全体の4割ほどが無観客になる見込みという。

 東京五輪に伴う感染拡大をめぐっては6月18日、政府の分科会の尾身茂会長など専門家が提言をまとめ大会組織委員会の橋本会長と西村経済再生担当大臣に「無観客が望ましい」とする提言を提出した。日本はワクチン接種率(2回完了)が13・77%(7月5日現在)ほどで、感染力の強い「デルタ株」の拡大など新型コロナに対する懸念がある。しかし感染を抑えたとする国々では、テニスの全仏オープンやウィンブルドン、サッカーの欧州選手権、米国では大リーグなどですでに観客を多数入れて行われている。国際オリンピック委員会(IOC)は日本は感染を十分抑えているという見方で開催に変更はない。仮に日本側が中止を要望した場合、「開催都市契約」に基づいて、IOCから多額の賠償金を請求される可能性があるという。

 4年に一度しかない五輪は選手にとっては当然開催してほしいものだが、新型コロナは五輪の最終予選にも大きな影響を与えた。野球で6月のメキシコでの最終予選を強豪の台湾やオーストラリアが辞退。陸上もアフリカ選手権が中止、ボクシングや水泳の世界最終予選なども断念された。これにより五輪出場のチャンスを逃した選手が出ることとなった。開催国として予め参加枠のある日本は有利で、米国の陸上チームが千葉での合宿を中止にするなど各国の選手団がコロナ禍で調整に支障が出ているなか、日本のメダルラッシュも予想されている。国民の多くが開催に消極的と言われる東京五輪だが、日本選手の活躍は誰にとっても明るいニュースに違いない。