日本の安全対策に疑問符

岸田首相に爆発物投げつけ事件

海外主要メディア

 岸田首相が衆院補選の応援のために訪れた和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で15日、演説開始間際に爆発物が投げ込まれた事件は米メディアも相次いで報道した。

 ニューヨーク・タイムズ(電子版)は速報で「日本の首相は爆発があった後、安全に避難した」と伝えた。容疑者が逮捕されたこと、安倍元首相が奈良市で銃撃されてから1年も経たないうちに起き、場所も奈良市からそう遠くないところだったことを指摘、銃撃事件がめったに起きない日本社会を動揺させたと報じている。避難した岸田首相が1時間後には市内の駅前で応援演説を開始したことにも触れた。

 CNNは、岸田首相にケガはなく、「発煙弾らしきものを投げた男が『威力業務妨害』の疑いで逮捕された」と報道。日本では「他人の業務を力ずくで妨害することは犯罪」となっていることを解説した。NHKの報道映像などをもとに、大きな爆発音の前に投げられたものが「銀のシリンダー」だったと報じた。

 17日には岸田首相が主要7か国首脳会議(G7広島サミット)の安全を誓うなか、「容疑者の自宅を家宅捜索」と題し、安全対策が十分になされているかについて疑問が起きていることについて触れた。G7サミットは5月19日から21日に行われる予定で、岸田首相が「最大限の安全を提供するよう努めなければならない」と述べたことを報じた。

 AP通信は、岸田首相は事件後も選挙応援活動を続けたが、「混沌とした光景は 9か月前の安倍晋三元首相の暗殺を彷彿とさせるものだった」と報じた。ブルームバーグ通信も、岸田首相が事件を「許されないことである」と述べたうえで、選挙応援を続けたことを報じた。

 16日には「日本の政治指導者に対する1年間で2回の攻撃は、その風潮を示唆している。加害者のメッセージを増幅することは避ける必要がある」とのギアイド・レイディ論説委員の見解を掲載した。ワシントン・ポスト紙も「岸田首相への攻撃を風潮にさせてはならない」との見出しで同文を掲載した。

 米メディアのほとんどが銃火器による暴力事件が皆無に近い日本で起きたことに注目、また安倍元首相銃撃死事件に言及した。