NYに飛ぶ30周年の翼

東京ーNY直行便
安心と安全、日本の心で

 「30」「ありがとう」「Thank You」と書かれたメッセージに見送られながら全日空(ANA)109便が9日午後4時55分、ジョン・F・ケネディ国際空港を羽田に向かって飛び立った。

 同社国際線悲願のニューヨーク線直行便が開通したのは1991年3月9日。当時の最新鋭機だったボーイングB747│400型機で、同年9月には早くも週3便から5便に増便、94年10月からは週7便、1日1便の成田=ニューヨークの運航が可能となるなど高まる国際線需要に応えていった。30年間で495万人が同便に搭乗した。2016年10月にはJFK│羽田線も開設している。昨年春からの新型ウイルスの感染拡大により航空需要は激減したが、それでも帰国しなくてはならない人たち、来米しなくてはならない人たちがいる。「お客様へ安心、安全、そして変わらぬおもてなしをご提供することを我々の使命、責務として日々、励んでいます」と米州室長兼ニューヨーク支店長の服部茂さんが搭乗口で「いってらっしやいませ」と一人一人に挨拶し乗客を見送った。   

全日空NY線就航30周年
JFK国際空港で関係者出席し式典開催

就航30周年式典の前に羽田行きの機内に乗り込む客室乗務員たち

 全日本空輸(ANA)は9日、ニューヨーク線(成田行き)就航30周年を迎え、ジョン・F・ケネディ国際空港ターミナル7で空港関係者が出席して式典を開催した。同社がニューヨーク線を週3便の運航体制でスタートしたのは1991年3月9日。当時の最新鋭機だったボーイング747-400型での就航で、同年9月には早くも週5便に増便、94年10月からはデイリー便運航が可能となるなど高まる国際線需要に着実に応えていった。

JFK国際空港を出発する初便の客室乗務員たち(1991年3月9日)

 99年には世界航空連合「スターアライアンス」に正式加盟。2000年6月から8月まではポケモン・ジェットがニューヨーク線に就航して大きな話題にもなった。また2003年5月には世界でも導入が少ないプレミアム・エコノミークラス席を導入、同年6月にはJFK空港ターミナル3からターミナル7へ移動、さらに2005年5月には運航機材をB747-400型機からB777-300ER型機へ変更するなど運航機材と空港設備を充実化させた。特に座席の改良には力を入れ、2010年にはビジネスクラスのシートを互い違いに置くことで、どの席からも直接通路に出ることができる画期的な全席通路側スタイル「スタッガードシート配列」を日本の航空会社で初めて採用。また2019年11月には個室感覚の新ビジネスクラスシート「THE Room」、ファーストクラスも「THE Suite」へと刷新し、ニューヨーク線に導入した。「THE Room」はビジネスクラスにおいて日本の航空会社で初めてのドア付きのワイドシートで、前後の向きを組み合わせて配列することで、クラス最大級のプライベート空間と居住性を実現した。どの席からでも直接通路に出ることができる、全席通路側スタイルで利用客の好評を博している。

 2012年10月には成田線を毎日2便、週14便運航へ増便、16年10月には2便のうち1便を羽田空港に振り替え、JFK-羽田線を開設した。

式典で挨拶する服部米州室長

 服部茂米州室長兼ニューヨーク支店長は式典で「30年を振り返ると約495万人のお客様にご搭乗いただくなかで、多くの成功の反面、大変な苦難もありました」と語り、特にこの一年のコロナ禍による厳しい状況に触れながらも「お客様へ安心、安全、そして変わらぬおもてなしをご提供することを我々の使命、責務として、次の500万人のお客様をお迎えすることを目指し、より一層、精進してまいります」と挨拶。この日の搭乗客に「良いご旅行を。いってらっしゃいませ」と笑顔で記念品をゲートで贈呈した。

 午後4時55分発のANA109便は、「30」「ありがとう」「Thank You」と書かれたメッセージを地上で掲げながら手を振る航空人たちに見送られて羽田空港に向け飛び立っていった。