NYで感染拡大の兆し

NY市長が日本からの帰国市民に14日の自宅隔離を要請

 デブラシオNY市長は5日会見し、最近、中国、韓国、イタリア、イランおよび日本を訪問したニューヨーク市民は、帰国後14日間、自宅待機すること、および、自宅待機中に症状が出た場合は医療機関に必ず連絡することを求める内容の発言をした。同時に公式文章を発出した。ニューヨーク日本総領事館によると、一般の旅行者が対象となるのかなどの詳細はニューヨーク保健局に問い合わせて欲しいとしてた上で、これはあくまで 市民に対するアスキング、お願いであり、強制力はなく、入国を制限することができるのは国土安全保障省のみで、現段階ではオーダー、命令ではないとの理解。一時帰国していた駐在員や日本からの旅行者がこの発言の対象になるのかは、総領事館では現段階では不明とのこと。明日には少し全容がわかるかもしれないとのこと。ニューヨークでのJFK国際空港で規制してもニューアークはニュージャージー州でNY市長の意向に従わなくてもよく、さらにワシントンなどからの陸路だと関所もないので関係ないことになってしまうなど、今回発言がどこまで効力を発揮するものかは不明だ。
 ニューヨーク州のクオモ知事は1日、同州で初の新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が確認されたと発表した。感染者は39歳の女性で、マンハッタンの病院で受診。29日に連邦政府の許可を受けたアルバニーのワズワース・ラボで陽性と確認された。呼吸器症状が見られるが重症ではなく、自宅で隔離状態に置かれているという。女性は2月末に渡航したイランで感染したとみられる。 また3日には同州ウエストチェスター郡において新型コロナウィルスの感染者1名を確認したと発表した。感染者はニューロッシェルに在住の50代の男性でマンハッタンで勤務しており、現在は市内の病院において治療中で重篤な症状と言う。メトロノース鉄道のニューヘブン線を使ってグランドセントラル駅を利用していた。
 ニューヨーク日本総領事館は3日午後、在留邦人に対して引き続き関連情報に注意して予防に努めるよう注意を喚起した。ウエストチェスター郡は日本人駐在家庭が多く住む。
 また、報道によれば、この男性が感染したことを踏まえて親族(子)が通っていた学校を含む次の学校が予防措置として閉鎖された。ママロネックのウエストチェスター・デー・スクール(Westchester Day School in Mamaroneck)、ホワイトプレーンズのウエストチェスター・トラー・アカデミー(Westchester Torah Academy in White Plains)、ブロンクス区リバーデールのサランター・アキバ・リバーデール・アカデミー(Salanter Akiba Riverdale (SAR) Academy in Riverdale, Bronx.)、ブロンクス区リバーデールのSAR高校(SAR High School in Riverdale, Bronx.)
 疾病管理予防センター(CDC)によれば、米国では3月5日までにニューヨーク州を入れて149人の感染者を確認。米国内での死者は2日までにワシントン州で2人が確認されていたが、キング郡保健当局は5 日までに、新たに9人を追加、計11人が死亡したと発表した。サンフランシスコでも1人死亡が確認され、米国での死者が12人になった。
 ニューヨーク州は5日夕現在で、22人の感染者が確認されている。ウエストチェスター郡ニューロッシエル近郊の1000人の感染者接触者に自宅隔離を命じた。また、イタリア、韓国、日本、イランに留学中のニューヨーク州立大学の学生を州のチャーター機で帰国させ2週間隔離させると4日、クオモ州知事が発表している。またニュージャージー州のバーゲン郡でも2人の感染者が確認されている。

入国規制対象に3国注視
大統領初めて「日本」言及

 トランプ大統領は3日、米国の入国規制について、「日本や韓国、イタリアの状況を注視している」と述べ、3か国が対象となることを示唆した。

 米国務省は、先月22日、日本国内で新型コロナウイルスの感染経路が分からないケースが相次いでいるとして、日本への渡航情報を4段階のうちいちばん低いレベルから「レベル2」に引き上げている。同省は、高齢者や持病のある人は不要不急の場合、渡航の延期を検討するよう呼びかけている。

 またCDC=疾病対策センターも同日、各国への渡航情報を更新し、日本国内で新型コロナウイルスの感染経路が特定できていないケースが継続的に起きているとして、3段階ある注意情報を2番目の「レベル2」(経路不明の感染が広がっている事態)に引き上げた。 

83人を14日間自宅待機に
ナッソー郡保健当局が中国からの帰国者

 ナッソー郡の保健当局は2月26日、感染の中心地である中国から過去14日以内に帰った83人を14日間、自宅に待機させる「自己検疫」措置にしたと発表した。疾病管理予防センター(CDC)の「帰国者がナッソー郡の住民をウイルスにさらす可能性がある」との通知を受けて実施した。中国からの帰国者はほとんどがナッソー郡の住民で、自発的としているが事実上、自宅に隔離させるもの。家族も濃密接触しないようにする。保健当局が毎日訪問して体温や症状を監視、症状がある場合はウイルス検査を行う。

感染予防措置ガイド
石鹸で手洗いを励行

 米連邦政府は個人のとるべき感染予防措置として

▽体調不良者との濃厚接触を避ける▽手で目・鼻・口を触らない▽体調が悪いときは外出せず自宅に留まる

▽咳やくしゃみの際はティッシュで口鼻を覆い、ティッシュはすぐにごみ箱に捨てる▽頻繁に触る物は、通常のクリーニング剤(スプレーやシート)を使ってこまめに拭き消毒する。手洗いをこまめに行う=石鹸を使い20秒以上=特に洗面所を利用した時、食事前、咳やくしゃみをした時などはすぐに手洗い=水を利用できない時は最低でも60%のアルコールを含む(ハンド・サニタイザー)を使用する。

 新型コロナウイルスの典型的症状として「発熱・咳・息切れ」を挙げ、感染が疑われる場合の対応として概要以下のとおり。

▽皿・グラス・カップ・ナイフ・フォーク・タオル・ベッドシーツ・枕などを共有しない▽症状を観察する=医療機関や州・地方保健当局に相談しながら他者への感染リスクがなくなるまで自宅療養(自宅での隔離)を続け

医療機関の受診を除き、外出を控える。職場・学校・公共の場等へ行かない。公共交通機関やタクシー等の利用も控える。症状の改善がみられない場合は、医療機関(かかりつけの医師等)に事前に電話で相談する。その際は新型コロナウイルス感染が疑われる具体的理由(渡航歴や感染者との濃厚接触など)がある場合にはその旨を必ず伝える。