警察への怒り再び

タイムズスクエアで抗議集会

 メンフィスの黒人男性、タイリー・ニコルズさん(29)が1月7日に5人の黒人警官に殴られ、同月初めに死亡した事件で、ニューヨークのタイムズスクエアなどで1月25日夜、抗議デモが行われた。このデモは、ニコルズさんが複数の警官に殴打される様子をとらえたボディカム映像の公開された7時に合わせて行われた。事件後、暴行に関与した黒人警官5人が解雇処分を受け、1月26日に殺人罪などで起訴された。検察は、5人それぞれが違った形で事件に関与していたが、全員の行為が結果的に男性を死亡させたと断定したと報道された。起訴された元警官のデスモンド・ミルズ被告(32)とエミット・マーティン被告(30)は保釈金を支払い無罪を主張する意向で、「あの晩、タイリー・ニコルズを死なせる意図は誰にもなかった」と言う。 テネシー州捜査局はニコルズさんの死亡に関して捜査に乗り出すと共に米司法省と連邦捜査局(FBI)は公民権侵害事件として捜査に着手した。

 ニコルズさんの残忍な死は全国的な怒りを呼び起こし、全米で抗議デモが行われた。25日のタイムズスクエアには100人余りが集まり、ニコルズさんのファーストネームを唱和していた。「政治家たちは何十年も前から、自分たちは変わる、物事は変わる、暴力はなくなると言ってきたが、何も変わらない」と嘆く声も聞かれた。警察官に暴力を振るおうとした男性3人が44丁目と7番街付近で同日夜に逮捕されている。(写真・三浦良一)