金融街の象徴残した彫刻家死す

猛牛像チャージング・ブル

 ニューヨーク金融街のシンボルである雄牛のチャージング・ブル像の作者で彫刻家のアルトゥーロ・ディ・モディカ氏が19日、生まれ故郷であるイタリアのシシリー島で死去した。80歳だった。 

 1941年に生まれたモディカ氏は、1970年にソーホーのグランド・ストリートに最初のスタジオを構え、80年代初期には、出会った画家ジャン=ミシェル・バスキアと共にクロスビー・ストリートのスタジオで製作活動を始める。・ 

 チャージング・ブル像は、89年10月の株式大暴落「ブラック・マンデー」の2か月後の12月にブロードとウォール街間に突如現れた。米国のパワーを伝えたいと制作した重さ3・5トン同作品をモディカ氏と同僚たちは、ニューヨーカーへのクリスマス・プレゼントとして、巡回中の警備員に見つからないようゲリラ的に真夜中に運んだという。当初、同像は金融街では不評だったが、その後、現在のボーリング・グリーンそばのロウアー・ブロードウエーに移動され、同地区の観光名所として親しまれるようになった。