救援機に感染者14人同乗

下船を報じる2月17日付NYタイムズ1面

新型コロナウイルス

遅い迎えに怒りも

 ダイヤモンド・プリンセスには乗員乗客3711人(うち日本人1285人。香港人470人、米国人425人、カナダ人215人など9か国・地域2522人)が乗船し、1月20日に横浜港を出港。25日に香港で下船した男性の感染が確認されたため2月3日から感染症の国内侵入を防止するため検疫法に基づき検疫を実施。2月5日から潜伏期間に基づく観察期間となる29日までの14日間、全員を船内待機にした。

 しかし日本は新型コロナウイルスの検査体制が整備されておらず国立感染症研究所任せのため、菅官房長官が10日、乗客乗員全員に対するウイルス検査について「現状では厳しいものがある」と答えざるを得ない状況のなか、検査結果による感染者数は増え続けた。 13日には80歳以上の高齢者や持病のある人から優先的に下船させる方針に切り替えた。17日までに1723人が検査を受け、確認された感染者は454人(日本人212人)となった。順次、医療機関に搬送されていおり、20人が重症となっている。

 米国は7日時点で、アメリカ人を移送したいと日本側に要請していた。クルーズ船のアメリカ人の感染者はすでに55人に上っている。17日、米国のチャーター機2機によって328人の米国人が羽田空港よりカリフォルニア州とテキサス州の米軍基地に運ばれた。もしも2月5日以降にも船内で感染が起きているのならば、日本が検疫期間と設定していた2月19日という日付そのものが意味を失い14日間の観察期間を再設定しなければならない。このため到着後、乗客は改めて2週間隔離される予定になっている。米国からのチャーター機で帰国した乗船客のうち14人が新型コロナウイルスに感染していることが、乗客の下船後、羽田空港に向かう途中で判明。その時点で、空港で14人を隔離して搭乗させない判断をなぜできなかったのか新たな問題となっている。14人はそのまま機内に乗り込み、他の乗客とのあいだにビニールの仕切りをして貨物機内にプレハブ住宅のような箱を設置、その中に同乗することになった。米国内の米軍基地に到着後、14人は入院。残る乗客も14日間の基地内での隔離滞在を余儀なくされる。  

 ダイヤモンド・プリンセス船内に乗客を止めたことに対する日本政府への批判同様、救援機を出すのが遅いとの米国政府に対する不満を持つ米国人乗船客が船内に残った。

 米国内では今回のチャーター便のほかに、武漢からの帰国者など15人の感染者が確認されている(16日時点)。

 米国以外にもチャーター機の派遣は香港やカナダも発表、15人が乗船しているイスラエルも16日、チャーター機の派遣準備を進めていることを明らかにした。

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