スーパーボウル取材52回、タック牧田さん

ランニングバック(ゼッケン26)のダミアン・ウイリアムスが抜ける(2日夜マイアミで、写真・タック牧田)

87歳現役カメラマン

 今年のスーパー・ボウルは2月2日マイアミで行われ、AFC代表のカンサスシティ・チーフスがNFC代表のサンフランシスコ・49ers.に逆転勝ちして覇者となった。グラウンドで撮影を許されているただ一人の日本人カメラマンの姿があった。元関学大選手でシアトル生まれの写真家、タック牧田さん(87)だ。今年で撮影通算52回目。29・5キロの機材を背負っていまなお現役だ。牧田さんから白熱の写真とコメントが送られてきた。

 チーフスは、私が行けなかった第4回以来50年ぶり優勝となった。32チームからなるNFLで優勝するのは至難なのである。
 スーパー・ボウルの起源は、1966年に合併に同意した旧NFLの勝者と、新興の旧AFLの勝者のチャンピオンシップとして始まったのだが、第1回の旧AFL代表は今回優勝のチーフスであった。旧NFL代表のパッカーズに完敗したのを思い出す。両リーグの実力差を体感した私の記憶は古くなった。
 フットボール好きの私は第1回のそのゲームから今年で52度目の取材であったが、第3回で旧AFL代表のNY・ジェッツが旧NFL代表だったボルティモア・コルツを破ったので、無視を続けていたアメリカ中のメディアが取材に殺到したために、カメラでフットボールを写したい願いだけの私は取材から外されたのだ。
 旧AFLでは強かったチーフスは第4回に再び出場して優勝した。つまり、合併により両リーグの実力が平均したのだった。それから数えて50年ぶりの優勝となったのだ。50年は長い。NY・ジェッツも第3回以来一度もスーパー・ボウル出場の機会はないままである。
 今やスーパー・ボウルは世界の大スポーツ・イベントで世界各国から取材陣が来る。日本でもNHKとNTVの2社が実況放映している。        
 ハーフタイムショーはフットボールに関係ない。私は空っぽのフォト・ワークルームで一人、後半まで休んだ。再びフィールドに出ると常連の老人フォトグラファー達が「今年でやめにしようか」などと一騒ぎしていた。でも全員75歳以下だ。87歳の私は黙っていた。(原文まま)