移民政策を大幅転換

不法滞在者に市民権
コロナ給付は総花的に

バイデン大統領

 バイデン新大統領は就任から10日間で、地球温暖化対策の国渣枠組み「パリ協定」への復帰、イスラム諸国からの入国禁止の撤回など10あまりの大統領令に署名する。パリ協定離脱やイスラム諸国入国禁止はいずれもトランプ政権が決めたもので、バイデン政権は米国の大きな政策転換を内外に示した格好だ。

 移民政策も大幅に変更され、書類が揃わず違法滞在状態の約1100万人の移民に市民権取得への道筋を作る。新型コロナ対策では他州へ移動する際のマスク着用を義務化する。また学生ローンの猶予延長、家賃滞納による立ち退きの猶予の延長などの大統領令に署名する。このほか、政府調達での米国製品を優先する「バイ・アメリカン条項」、低所得の女性などの医療保険加入の促進などに署名する予定だ。

 新型コロナウイルス対策をめぐっては、バイデン新大統領は就任前の14日に1・9兆ドル(約200兆円)規模の経済支援策を発表。個人への直接給付1400ドル、失業手当の週400ドル上乗せ措置の9月まで延長のほか、100日間で1億人のワクチン接種計画と学校の再開も含めたコロナ対策に4000億ドル、州や地方自治体への支援に3500億ドル、中小企業支援に500億ドルを支出する内容となっている。昨年末に9000億ドル(約93兆円)規模の追加経済支援策が成立したばかりだが、民主党は「まったく足りない」としていた。大規模な支援策は共和党のほか一部の民主党議員も反対しているが、下上院とも民主党多数派となっており、成立する公算が高い。個人給付金は昨年末に既に600ドルが納税申告者に支払われており、バイデン大統領が就任前から600ドルでは足りないとして2000ドル給付を提示していたもので、差額の1400ドルとなっている。