東洋の神秘で巨匠たちを唸らせる

アーティスト・ミューズ モデル・女優

岩月美江さん

 見ての通り、その独特の面立ちは、日本的と言うよりもはるかに東洋的な神秘を感じさせ、個性的なアートのタブローとして被写体や絵画のインスピレーションを掻き立てるのに十分だ。そしてその通り、ニューヨークで日本人女性の新たなイメージのアイコンとして米国の美術界や映像、ファッション界の巨匠たちから注目を集めている。つい最近もマンダリンオリエンタルホテル・NYの広告キャンペーンのメインモデルとして起用された。

 岩月美江さん。1998年に日大の短大を卒業後、芸術の留学のために来米し、ハンターカレッジを卒業後、ニューヨークのクリスティーズで1年間のインターン、ソーホーのギャラリー勤務中、キュレーターとして活動の際にグッゲンハイムで回顧展が開かれたペインティングの巨匠、アレックス・カッツに見出され、彼のペインティングのミューズとしてその後10枚程の作品のモデルとなった。その後、数年前に亡くなった写真家の巨匠、ロバート・フランクに出会い、ロバート・フランクにもポートレートを撮影される。2012年にはロバート・フランク、アレックス・カッツも参加した、35人のアーティストのモデルとなった『MIEポートレート展』がチェルシーの画廊で開催され、ニューヨークのアート界で話題となり、ブルームバーグ誌にも取り上げられた。アーティスト・ミューズの活動を経て、2年前からNYでモデル・女優としての活動も開始した。現在は、映画『American History X』で有名なグラミー賞受賞、オスカーノミネートにもなった巨匠、監督のトニー・ケイから「岩月のアーティスト・ミューズのストーリーを映画化したい」とのオファーを貰い、監督とドキュメンタリーフィルムの企画準備に取り組み始めている。

 今回のマンダリン・オリエンタルホテルの広告キャンペーンの撮影は1日で終わり、無事に公開されたが、それからが忙殺の日々だった。急にモデルのオファーが殺到するようになり、そのためのキャスティングテープの撮影に追われ室内ライティングで熱中症となって8月に2回、救急搬送されたほどだ。

  「ゴールはあくまでアート。単なる被写体ではない、芸術家を理解するモデル・ヴォイスの送り手として常に発信していきたい」。

  NYは「自分の可能性と目標に世界の土俵で挑戦できる街」だと言う。神奈川県横浜市出身。「自分が生まれ育った日本の美しい文化も伝えたいですよ」と神秘的な微笑を見せた。@mieiwatsuki

(三浦良一記者)

Photographer: O Zhang  @shinebyoportraits