平安時代の日本の香は時空を超える

プロジェクト・フェリシア代表

なかやま ひろさん

 ニューヨークで6年半前まで世界最大の日英バイリンガルのための就職・転職イベントを運営する人材会社でマーケティングの仕事に従事していた。帰国して15年ぶりの日本だったが、海外から戻っての日本暮らしは3度目で数か月の滞在も入れると6か国で生活していたのと、もともと一か所で一生暮らすつもりはないので、帰国というよりも「新しい国に移っただけ」と言う感じだったという。

 現在は2013年にNYで設立したプロジェクト・フェリシアLLCの香りの自社事業運営とコントラクターとして2017年から日立製作所、2020年から某IT企業に従事し、#IamRemarkable powered by Googleファシリテーターとしても活躍中だ。

 現在取り組んでいるのは、1000年前のお香の調合を現代風にアレンジした商品のデザインプロジェクト。これは日本のお香の約70%を製造する淡路島の香司によって天然100%の香原料を使ってハンドメイドされた平安時代を代表する6つの香りを、環境に配慮したサステナブルなパッケージに収めた「新しい」ホームフレグランスの提案事業。収益の一部は「1% for the Planet」に寄付する。

 依頼があれば、お香だけでなく、香りに関わるプロジェクトは、マーケティング、コンサルティング、商品開発、イベントなど幅広く積極的に関わっている。執筆依頼も増え、海外はもとより最近は東京商工会議所会報誌にも執筆した。

 お香は2015年に母親が亡くなり、お香を手向ける機会が増えたことで使い始めた。すでに、香りの世界で仕事をしていたので、実家に来たお坊さんが毎回使用しているお香の香りが異なることに気づき、お坊さんと話し込んだこともあるという。その後、お香を創作するワークショップが日本にあることを知り、当時生活していたシンガポールから日本へ向かった。自分でお香を創作することの楽しみに出会い、これを多くの人と共有したいという思いが募り「お香創作ワークショップ」の開催を始めた。現在、米国も含め数か国で開催している。

 「香りは、私たちが生きていくためにとても大切なものなんです。嗅覚から『心地よい』と感じる香りの刺激は幸せを感じるホルモンの分泌を促します。香りの心地よさを体験し、心地よく過ごす方法を知ることで、人に対する優しい気持ちや、日常のストレスを乗り越えていく力も育みます。私たちは心地よいと感じたとき、自分自身と、まわりと素直に向き合え心を豊かにします。一人一人が前向きで良い状態であると、それはグループでも広がりやすく、社会がより良くなると思います」。東京生まれ、静岡育ち。現在クラウドファンディング「KICKSTARTER」でキャンペーンを展開中で受け付けは5月18日午後9時(日本時間)に終了する。

(三浦良一記者、写真は本人提供)

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クラウドファンディング「KICKSTARTER」はhttps://www.kickstarter.com/projects/bridgeandblend/premium-incense-inspired-by-blending-1000-year-old