NYで米ファッション業界の顔を作る

メイクアップアーティスト

荒井麻里子さん

 現在ニューヨークのザ・ウォール・グループというエージェンシーに所属してファッション、ビューティー撮影を中心に、時にはセレブリティのメイクをしている。 主に雑誌やコマーシャルの仕事が多い。学習院短大を卒業後、キヤノンに入社して会社員をしていたが、2006年4月に同社を退職してニューヨークにやってきた。会社勤めをしながら、もともと映画が好きだったので映画関係の業界への転職を考えていたが、それには専門的な技術をつけなければといろいろ試行錯誤した結果、メイクの学校へ体験入学したのがこの世界に入るきっかけとなった。それが本当の入学になってしまい、仕事と両立させながら学校のトータル・ビューティーコースを履修。ヘア、メイク、ネイルを一通り学んでニューヨークに来た。

 人生の新天地にアメリカを選んだのは、中学2年生の夏にロサンゼルスでホームステイを経験し、いつかチャンスがあったらアメリカ留学をしてみたいという気持ちを常に持ち続けていたから。最初は映画の世界に入りたいとの思いからメイクを始めたが、自分の中で、興味の方向が、いつの間にかファッションに向かい、ロサンゼルスではなくニューヨークを選んだ。

 最初は語学学校に通った。知らない人ばかりの中で、それでもメイク関係の知り合いが何人ができ、紹介を受けながら無報酬でメイクのアシスタントなどをしながら、徐々にファッション関係のメイクの仕事が増え、独立した。

 美容と異なり、プロのメイクアップはその日限りの瞬間芸的アートとも言える。舞台が終わるまで、撮影が終わるまでの勝負だ。時にはクライアントから紹介されるモデルのイメージが、実物の素顔と全く異なることもあり、クライアントの見えないところでの腕の見せ所を試されることもある。

 「言われたものを作るのは基本ですが、フリーランスとしてこの仕事を続けていくためには、120%の出来栄えでないと続けられないのではないか」とも言う。日本のメイクの学校で習った「その人の顔の良さを一番引き出すようなメイクをすること」を今も胸に秘めている。紺屋の白袴ではないが、自分ではあまりメイクをしなくて素顔が多い。「心身のバランスをとりながら仕事と向き合うこと、仕事に行く時は、エネルギー全開で行けるよう普段から運動と質の良い睡眠を心がけている」と言う。それが本人の健康のメイクアップと見た。埼玉県出身。  

 (三浦良一記者、写真も)