ハーレムと日本の架け橋に

トミーさんの音楽葬で遺影を持つ松尾さん (1月23日夜、メモリアル・バプティスト教会で)

音楽プロモーター、NYコーディネイター、
Harlem Japanese Gospel Choir代表、
ハーレム・グローバル・ツーリング社代表

松尾 公子さん

 1月23日夜、ハーレムと日本とを結ぶ文化の架け橋として活躍したトミー・富田さん(享年80歳)の音楽葬がハーレムの教会で行われた。マルコムXの法定代理人、マンハッタン区長を3期務めたことでも有名なパーシー・サットンファミリー、ハーレム商工会議所代表、アポロシアターファミリーなど生前富田さんと繋がりのあったハーレムの面々が集まり、ブラックミュージック満載の華やかな音楽葬となった。最前列で遺影を持っていたのが松尾公子さんだ。ハーレムで18年間、富田さんを支えた。
 松尾さんは、3歳からピアノとモダンバレエを習い、高校時代、サーフィン好きの仲間の影響でボディボードを始め、レゲエと出会う。R&B・ソウルなどのブラックミュージックにはまり、ディスコ・クラブ全盛時代へ。大学卒業後は、エンターテイメント系会社の広告宣伝部で雑誌やテレビの仕事に従事したあと渡米。現在、ハーレム・グローバル・ツーリング社代表として日本とハーレムの交流を様々な形でアシストしている。トミーさんが創設したハーレム・ジャパニーズ・ゴスペルの代表としても活躍するが、表千家茶道、草月流華道、着物着付け、書道は七段という日本文化もしっかり身に付けているスーパーウーマンだ。
 すでに数年前からトミーさんが始めた日本人初のハーレムツアーなど仕事のすべてを受け継いでおり、昨年からは世界初の正式ライセンスでアポロアマチュアナイト・ジャパンをスタート、今年はアジアにも拡大するという。
「35年のハーレム生活で、どれだけしっかりと、コミュニティーに根を下し、皆さんにトミーが愛されてきたか。知っていたつもりだった私でさえ、さらに驚くほどの大変な功績と愛されかたでした。心に空いた大きな穴をこれからどのくらいの時間をかけて埋めていくことができるのか、それだけがこれからの自分の課題です。これからもトミーのレガシーを心に、さらに頑張っていきます」と語った。音楽の世界に入る前は札幌冬季五輪のリュージュの日本代表選手だったトミーさん。大柄で繊細な心の持ち主だったトミーさんが今度は天国からしっかり松尾さんを見守る番だ。(三浦良一記者、写真も)