夏場のビジネススタイル

イケメン男子服飾Q&A 70

 いよいよ夏本番ですね。日本ほどではないですが、ビジネス・カジュアルということで上着を脱いでシャツ姿となることがオフィスの内外に関わらず多くなってまいります。今回は夏場のビジネス・スタイルについていくつかポイントを記しておきたいと思います。
 もちろん、夏場であっても理想はきちんとしたスーツ姿なのですが、タイ(ネクタイ)をしないケースが多くなってくるでしょう。 
(1)まず注意をしていただきたいのはシャツなのですが、日本で売られている「クールビズ」(こんな英語はありません・笑)対応と言われている襟や袖のステッチ、またボタンホールなどが紺、黒、赤など色付きであったり、ボタンが色付きであったりするものは適切とは言えません。日本だけ許されている独特な装い、習慣だからです。もしボタンダウン・シャツがお好きでしたらそれで全く構いませんが、ごく普通の真っ当なモノであればそれで必要充分なのです。ボタンダウン・シャツはニューヨーク生まれの、文字通りアメリカを代表するビジネスシャツで皆様もよく御存知のアメリカン・トラディショナルとかクラッシック等と呼ばれているブランドであればまず大丈夫です。
(2)ベルト。上着を脱いだ時に意外に目立つのがベルト。ベルトの穴がくたびれていないかチェックしておきましょう。ベルトと靴の色を合わせることも基本中の基本です。加えて、もし靴がバックル付きであれば、ベルトの金具の色と合わせておくとスッキリ、スマートです。
(3)スラックス。夏場のビジネス・スタイルにおいて最も重要なアイテムです。コツはヒップ・サイズを最重要視して、ウエストを調整するようにするとスッキリ履きやすくなります。アメリカで売られているスラックスにはウエスト部分の縫い代がたくさんあってウエストを出して大きくすることが可能なのです。スラックスのシルエットはアメリカでも細身が多くなっていますが、股上浅めで結構ですが、いわゆるテーパードと言わている、腰から裾にかけて徐々に細くなっていくものではなく、細身で結構なのですが、なるべく裾幅と膝幅にあまり差がないシルエットのものをお選びください。膝と裾の幅に大きな差がないと膝の位置を高く見せる効果があり、股上が浅くとも脚を長く見せてくれるのです。加えて、裾幅は19〜20センチ程度のものが多いようですが、この様なモデルでは裾をあまり弛ませない方が、つまり長めではない方がスッキリ脚長に見せることが出来るものです。是非一度、姿見で、しかも3メートルくらい離れて御自分の全身をじっくり他人目線で御覧になられてみてください。 
 それではまた次回。
けん・あおき/日系アパレルメーカーの米国代表を経て、トム・ジェームス・カンパニーでカスタムテーラーのかたわら、紳士服に関するコラムを執筆。1959年生まれ