クイックUSA アメリカの人事部 コロナウィルス関連Q&A(3)

雇用上の問題に答える

コロナウィルスに関する雇用上のQ&A

Q(8)  65歳以上で何らかの慢性疾患をもつ人のコロナウイルス感染リスクが高いということで、自社で働く65歳以上の従業員に対して一律自宅待機命令を出してもそれは年齢差別にあたらないであろうか?

A 65歳以上の人であっても慢性疾患とは縁のない健康な従業員もいるはずですので、年齢だけでの線引きをして一律強制的に自宅待機命令を出すというのは、やはり年齢差別を禁止しているADEA(Age Discrimination in Employment Act; 雇用年齢差別禁止法)に抵触する可能性が高いと思われますので、強制することはできないと思われます。また、慢性疾患をもっているかどうかという質問を従業員にすることは法律(ADA:  Americans with Disabilities Act; アメリカ人障害者法)に抵触することになりますので、すべきではないと申し上げられます。

Q(9)  コロナウイルスに感染した従業員を会社はそれを理由に解雇することはできるのだろうか?

A コロナウイルスに感染した従業員はその時点で障害者となったという解釈が成り立ちますので、障害をもったことを理由に解雇するということは、まさしく障害者差別となり、それはADA(Americans with Disabilities Act; アメリカ人障害者法)違反にあたる行為となります。雇用上での障害を理由にした解雇を含む職場での差別は法律で厳しく禁止されています。

Q(10)  オファーレターにサインをすでに取り交わした採用予定者に対して、コロナウイルスの影響のために雇用を延期あるいは取り消しすることは可能であろうか?

A この質問への答えはイエスです。つまりオファーレターというのは契約書ではないので、状況如何によっては延期や取り消しは可能だということです。通常オファーレターの中には ”At-Will” の雇用であるという記述が含まれていますので、それでできることになります。その場合、コロナウイルスの影響で採用を延期されたり取り消された採用予定者の人は、特別に州の失業保険の申請をすることができるかもしれません。まずは、州のウェブサイトにいかれてみて、そのような失業保険申請ができないかどうか、確かめてみてください。各州ではコロナウイルスのための何らかの失業保険特例プログラムを用意してくれています。

(酒井謙吉 パシフィックドリームス社長)

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