ハリー王子が暴露本

Prince Harry, Duke of Sussex・著
ペンギン・ランダムハウス・刊

 英国王室から離脱し米国に移住したハリー王子の回顧録「SPARE(スペア)」が1月10日に発売された。子ども時代から陸軍時代、母ダイアナ妃の死、夫となり父親となって見つけた喜びなどを綴った回想録だが、スペインなどでは5日から店頭に並んでおり、兄のウイリアム皇太子から暴力を振るわれたことがあると書かれていることがわかった。

 ハリー王子は2018年にアフリカ系の母を持つメーガン妃と結婚した。翌2019年、ウィリアム皇太子がメーガン妃のことを「無礼」「気難しい」などと非難したことで口論となり、ハリー王子はウィリアム皇太子に襟首を掴まれて床に叩きつけられ、背中にけがをしたという。ふたりは1997年に母ダイアナ妃を事故で亡くし、葬列で棺の後ろを一緒に歩く兄弟の姿は世界中の涙を誘ったことでよく知られる。

 ハリー王子は本の出版にあたりCBSの「60ミニッツ」とイギリスITVのテレビインタビューに出演、英国王室は自分とメーガン妃についてのネガティブな話題をマスメディアに植え付けておきながら、タブロイド紙などから自分たちが攻撃されても弁護しなかったと述べるなど王室を批判した。その上で「私が望むのは制度ではなく家族」であり「父や兄を取り戻したい」などと語った。

 イギリス王室をめぐっては昨年11月、長年勤めている王室幹部がバッキンガム宮殿に招待した黒人のゲストに差別的発言をして辞職に追い込まれるなど、王室に組織的差別があるのではとの声がネットなどであがった。昨年12月にハリー王子夫妻の英国王室との別れと南カルフォルニアでの新しい生活を綴ったネットフレックスのドキュメンタリー「ハリー&メーガン」(全6話)が公開され、最初の3話はドキュメンタリーでは過去最多の2800万回視聴を超える大ヒットを記録した。

 ハリー王子は回顧録で出版社から少なくとも2000万ドル(約29億円)を受け取っていると報じられている。ただし収益はすべて慈善団体へ寄付されるという。

 公務を退き、殿下、妃殿下の称号も返上しているハリー王子夫妻だが、5月に行われるチャールズ国王の戴冠式に出席が認められるのかどうかに関心が高まっている。ハリー王子は戴冠式への出席を見送ることを示唆している。(武末)