真相に込められた思い knives out

捜査に加わるブラン探偵(クレイグ、右端) Photo : Claire Folger/Lionsgate

 「オリエント急行殺人事件」などアガサ・クリスティを思わせるマーダー・ミステリー。殺人事件の推理ゲームは綿密なプロットと俳優の演技で面白さが決まる。脚本・監督は「Star Wars : The Last Jedi」のライアン・ジョンソン。ジョンソンはネオノワールミステリー「Brick」(2005年)、SFスリラー「Looper」(12年)などサスペンス、ミステリー系を得意とするだけに本作も微に入り細に入り迷路のような真相究明で観客を虜にする。もちろん笑いもたっぷり。
 プロットのほうは間違いなくA級レベルで最後まで目が離せない。キャスティングもわくわくするような個性派オンパレードだ。アガサ・クリスティの作品にたびたび登場するポアロ名探偵に匹敵するブラン探偵にダニエル・クレイグ。クレイグは来年4月公開の「No Time To Die」が007ジェームス・ボンド役の最後になる予定で本作はボンド後にクレイグが切り開くであろう新ジャンルの助走ともいえる。
 物語は人気小説家ハーラン(クリストファー・プラマー)の死で始まる。当時、邸宅内にいた親族兼容疑者がクリス・エバンス、ジェイミー・カーティス、マイケル・シャノン、トニ・コレットらの面々。
 ハーランは85歳の誕生日に息子、娘家族を招き祝いの席を設けたが、翌朝に死体となって発見された。ナイフで喉元をかき切っており、親族はすぐに自殺と決めつけた。しかし、警察は他殺の可能性もあるとして関係者への聞き取りを始める。その様子をそばでじっと観察しているのが探偵ブラン。
 だれもが口をそろえて「ハーランは皆に祝ってもらってとても嬉しそうだった」と言うが、それぞれ「知られてはまずい」やりとりがあった。さて、犯人はいったい誰か。
 カーティス、コレット、シャノンは一癖も二癖もありそうなキャラで演技力抜群。クレイグ扮するブラン探偵はどこか現実離れしたところがあったり、哲学的だったりでかなり笑える存在だ。2時間10分。R (明)

https://www.lionsgate.com/movies/knives-out


■上映館■
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