愛は未来に繋ぐ

Love and Thunder

 「Thor」シリーズ第4弾。前作「Thor: Ragnarok」のタイカ・ワイティティ監督が続投。ガンズ・アンド・ローゼズの曲をバックに愛と憎しみを経てたどりつく子供たちの明日をウエットとユーモアを織り交ぜ描き出す。

 むろん主人公はソーなのだが、本作で存在感を示すのが天文学者でソーの元恋人ジェーン・フォスターとヴィラン、ゴア。ムジョルニア(ソーのハンマー)を振るうことができる女性版ソー「マイティ・ソー」に変身するジェーンと愛する娘を失った悲しみで心つぶされ、神を憎み殺戮を繰り返す神殺しとなるゴアだ。単なる極悪非道の殺人鬼とは異なり、クリスチャン・ベール扮するゴアは吸血鬼のような妖気を漂わせる一方で氷のような悲哀の情をにじませる。

 ひび割れた大地をゴアと娘が歩き続け、遂に娘は息絶える。ゴアは緑地にたどり着き神ラプーに希望への救いを求めるがラプーはこれを一笑に付した。この時から憎しみの権化となったゴアの神殺しが始まる。

 狂気の道を突き進むゴアをとめられるのはソー(クリス・ヘムズワース)しかいない。ニュー・アスガルドの国王となったヴァルキリー(テッサ・トンプソン)や助っ人コーグ(ワイティティ)とゴア征伐に乗り出すソーの前になんとマイティ・ソーに変身したジェーンが現れる。

 ジェーンはステージ4の癌と診断されムジョルニアに治癒力を求める。ヘラによって破壊され今はニュー・アスガルドに展示されているバラバラになったムジョルニアが一体となってジェーンの手に収まる。マイティ・ソーの誕生だ。

 ゴアとソーらの激突は見てのお楽しみだがラッセル・クロウ扮するゼウスの傲慢ぶりや、ソーの今の相棒武器ストームブレーカーがムジョルニアに嫉妬するかわいいシーンもありワイティティ監督ならではの笑いもふんだんだ。ちなみにエンドロールが始まってもすぐに席を立たないように。今後のストーリー展開を予測させる驚きのおまけシーンが2つも出てくる。2時間5分。RG。 (明)


■上映館■

Regal E-Walk Stadium 13 & RPX 247 W. 42nd St.

AMC Empire 25 234 West 42nd St.

AMC Loews 34th Street 14 312 W. 34th St.

Cinepolis Chelsea 260 W. 23rd St.