組織を揺さぶる陰謀 Men in Black: International

 シリーズ4作目というよりリブート版かつスピンオフに近い。元々、アメコミをベースにしたM1B(メン・イン・ブラック)は1997年、2002年、2012年の3作でいずれも主役はウイル・スミスとトミー・リー・ジョーンズ。黒いスーツにサングラスといえばすぐにスミスの顔が浮かぶほどで新作で彼の顔が見えないのは少々寂しい気もするがクリス・ヘムズワースというビッグネームを配し、製作総指揮スティーブン・スピルバーグとくれば期待は高まる。が、結果としてはかつてM1Bに溢れ出ていたパロディー感が薄れ、張り合うエイリアンの奇抜さも今一つでどこにでもありそうなSFアクションに落ち着いてしまったのが残念。
 新材料と言えば男性社会のM1Bで女性の躍進が目立つこと。前作から続投のエージェントO(エマ・トンプソン)は007ジェームス・ボンドの元ボスMの役柄を思わせるベテランの貫録を発揮。凄腕エージェントH(ヘムズワース)の相棒Mには女優でミュージシャンのテッサ・トンプソンが抜擢され、勇敢な女性エージェントの存在感を示す。続編は「M&WIB」(メン&ウィメン・イン・ブラック)へとステップアップする可能性もあり。
 T・トンプソンは「Thor: Ragnaro」(マイティ・ソー/バトルロイヤル」(17年)や「アベンジャーズ/エンドゲーム」(19年)で女戦士ヴァルキリーを演じておりヘムズワースとは息もぴったり。共演はリーアム・ニーソン、レベッカ・ファーガソンら。監督は「The Fate of the Furious」(ワイルド・スピード ICE Break、17年)のF・ゲイリー・グレイ。
 過去に地球を救うほどの活躍をしたHは最近はいささか脱線気味。それでもロンドンでM1Bを揺さぶる重大事件捜査のために奮起一転。パートナーは新任のM。実はMは子供の頃にM1Bに遭遇している。記憶抹消は免れ、以来、憧れのM1Bエージェント目指して一直線に生きてきた。
 HとMは何にでも姿を変えることができるエイリアンと背後にいる黒幕のあぶりだしにかかる。
 Mになついてくるポウニーというどこかヨダ風のミニチュアサイズ・エイリアンがかなりのキャラクターだ。2時間。PG-13。(明)

■上映館■
Regal E-Walk Stadium 13 & RPX
247 W. 42nd St.
AMC Empire 25
234 West 42nd St.
AMC Loews 34th Street 14
312 W. 34th St.