日米の学生が茶道体験

第74回日米学生会議NYで

裏千家の鈴木講師が解説

 1934年に発足した日本初の国際的な学生交流団体である日米学生会議(Japan-America Student Conference:JASC)に加盟する学生のうち、日米合わせて約60人の代表団が第74回目日米学生会議プロジェクトの活動の一環でニューヨークを訪れた。6日には裏千家茶の湯センターの協力により日本の伝統文化である「茶道」についての勉強会を行い、日本の伝統文化の世界普及と国際化について学び、日米間の文化の相違について意見を交わし、両国の学生間の相互理解を深めた。

 当日はまず、NY市立大学ハンターカレッジの講堂を会場に、裏千家今日庵業躰であり裏千家NY出張所責任講師の鈴木宗慶氏を講師に迎え、茶道発祥の歴史と精神についての講話を行った。鈴木講師は、茶道が時代と共に変化と進化を繰り返し、裏千家の第15代家元、千玄室大宗匠の「一盌(いちわん)からピースフルネスを」の理念で海外に布教してきたこと、また、茶道がもたらす「静」のパワーと精神バランスが世界に「平和」をもたらすこと、そして、茶道が人や国の関係構築にどう貢献してきたかなどを分かりやすく解説した。続いて、同センター講師のフィリップ・ハファティ宗建氏とペイ・ツエン・タオ宗佩氏を交えパネルディスカッションを行い、学生からは積極的に質問が投げかけられるなど活発な論議となった。その後、裏千家茶の湯センターに場所を移し、同センターの講師による茶道体験を行い、茶道道具やお点前の所作の意味や重要性を学んだ。

 日本から参加した大阪大学工学研究科環境・エネルギー工学専攻・修士1年の山本悠太さんは「初めて茶道に触れた参加学生も多く、若者がいかに伝統を継承できるか考えさせられた。バックグラウンドに関係なく、国を超えてその場の空間と時間を楽しめることに価値があると感じた」と話し、日本の伝統文化の国際交流の重要性を実感した。また、鈴木講師は「本格的に茶道を学ぼうという学生たちの熱意が伝わってきました。『道』を極めるという日本独特の奥義に関する質問が出るなど、日本文化の神髄を深く学びそれを日米間で交流しようとする姿勢が強く感じられました」とコメントし、有意義な国際交流の勉強会となった。