編集後記 1月1日号

みなさん、こんにちは。今年の新年号では、2部構成の最初の号で「自分を磨く」というテーマで、企業や社外のネットワークで、勉強会で、自己管理から成功体験を身につけて「個人力」をいかにつけていくかという取材をして、メインに国連職員として活躍する日本人やプロフェッショナルたちの個人体験などを紹介しています。もう一つの号では「人生いきいきを準備する」と題して、在米邦人の高齢化と老後の準備、年金、相続、帰国、介護といった問題に「アメリカに住む日本人」という観点から考えてみました。日本の専門家の皆さん10人以上がいろいろなアドバイスをしてくれています。新年号で記事を書いてくれている画家の横尾忠則さんは6月には83歳になるそうですが、書いていることはとっても若者の心です。いまから35年以上も前にロサンゼルスで初めてお目にかかったとき、その時まだ彼は50歳前だった訳で、私もまだ20代でしたが、取材でお会いした時にこんなことを言っていたのを今でも覚えています。「肉体は若さを保って、精神は老人みたいに達観した感じになりたいんだ」というようなことでした。普通は、サミュエル・ウルマンだか偉い人が言うように「青春とは年齢ではなく精神のありかただ」というように精神の若さを大切にするということに重点をおくはずなんですが、私もその時「おー、いいねえ、肉体だけは若さを保って、爺さんみたいに早く世の中を達観できる感じになりたいわ」と思ったものでした。そしていま、その爺さんの一歩手前まで来た現在、全然世の中を達観できていない自分に気がつきます。この先なにが待っているのか。ドイツのアウトーバーンを制限速度なしで走れる車をとヒトラーが命じて造らせたフォルクスワーゲンのビートルという車は、ガソリンが最後の一滴が無くなるまで時速130キロのスピードで走れてタンクが空になるとエンジンがプスッと止まるという、いかにもドイツ人が造りそうな車でした。ピンピンコロリじゃないですが、私もフォルクスワーゲンみたいに走っていきたいと思いました。今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。それでは、みなさんよいお年を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)