編集後記 2022年10月15日号

【編集後記】 みなさん、こんにちは。コロンブスデー(当地ではコロンバスデーと日本人でも発音)が終わると、ハロウィンがきて、冬時間になって、感謝祭。そうなるともう年末まで駆け足。この時期は、新聞社はどこも来年の新年号に向けて動き出します。テーマは何で行こうかとあれこれ独自の視点の特集などを組みます。去年まではコロナ禍との闘いと生きることの大切さなどなどが紙面を賑わせました。去年の今頃は、まだ、ウクライナへのロシアの軍事侵攻など想像もできなかったです。そして、今、首都キーウをはじめウクライナ全土に同時にミサイル攻撃の日々です。これを戦争と呼ばずしてなんと言うのでしょうか。報復の報復がエスカレートすればどちらかが降伏するまでの闘いになってしまいます。戦争を終わらせるための国連が、当事者のロシアと今やおよび腰ながらもそれに加担する中国の拒否権によって平和への道のりが見えないどころか、武器を送りこみ、防空システムのサポートとエスカレートさせる方向です。ふと、思いました。アメリカ国内、ニューヨークのブルックリンには、ロシア人コミュニティがあります。アメリカ生まれのロシア系の若者や一世、二世がいます。本国のロシアにはきっと、おじいちゃんやおばあちゃんがいることでしょう。アメリカのテレビやネットで欧米の情報に接している在米ロシアコミュニティーはどんな思いでいるのか。二つの祖国の狭間で葛藤する人々がいるのではないか。それは、第二次世界大戦中に敵性外国人として強制収容所に入れられた日系米国人の親子の断絶、意思の行き違いに悩む姿とどこかだぶるのです。サマセット・モームが『世界の十大小説』で「あらゆる小説の中でもっとも偉大な作品」と評したトルストイの名作「戦争と平和」を生んだロシアの今はあまりに遠い存在です。在米ロシア移民たちの現代の「戦争と平和」を、ブルックリンのロシアンコミュニティーの肉屋のおじさん、洗濯屋のおばさんに聞きに行こうと思います。それを新年号でやろうかなと思ってます。同業他社の人でこの編集後記を読んで、お、いいね!と思った人、どんどん書いてください。私も読んでみたいです。まだ、そんな記事を目にしたことはないですから。自分がどんな記事を書くことになるのか、取材の現場に行くまで自分でも分からないところがこの商売の面白いところでしょうか。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)