編集後記 7月18日号

みなさん、こんにちは。留学生へのビザ発給を制限すると発表していた米移民・関税執行局(ICE)が14日、制限を撤廃すると発表しました。規制の一時差し止め請求をしていたハーバード大学、マサチューセッツ工科大学と和解したとのことです。当初、9月からの新学期にオンラインのみを履修する留学生には、F1(一般学生向け)とM1(職業訓練プログラム受講者向け)のビザを発給しない方針を打ち出し、すでにビザを取得していても、オンライン授業だけを受ける留学生は出国しなければならず、留まるには対面授業を行う教育機関に編入しなければならないなどとしたのですが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため多くの大学や教育機関が9月以降もオンライン授業を継続すると発表していたので大混乱をきたしました。新学期からもすべての授業をオンラインで行うと発表していたハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)が8日、新規則の一時差し止め命令を求める訴訟をボストン連邦地方裁判所に起こしていたわけです。12日にはイエール大学やスタンフォード大学、メリーランド州立大など59もの大学が両大学を支持する法廷助言書を提出し、そして州も動き、カリフォルニア州のザビエル・ベセラ司法長官は9日、学生に対面授業への出席を強いる新規制は多くの人々を感染リスクにさらす恐れがあるとして、差し止めを求めトランプ政権を提訴したのです。ICEの撤回で、一見落着のように見えますが、ちょっと気になるのは、肝心のトランプ大統領自身が、政権としての撤回を正式にはまだ発表していないことです。政権直下の米移民・関税執行局(ICE)がボストンの裁判所と和解、ビザ発給制限を撤回というのが16日現在の正確なところです。トランプ大統領はだんまりです。裁判所の判断を大統領がどう受け止めているかまだ予断を許しません。新型コロナウイルス対策のビザ発給制限でしたが、トランプ大統領自身がマスクをしている姿を未だかつて見たことはありませんし。コロナの先行きも大統領選挙の見通しも、予測と現実の乖離が大きそうで先が読めません。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)