編集後記 6月8日号

みなさん、こんにちは。河野外務大臣は5月21日、外国報道機関に対し、平成12年の国語審議会が、日本人の名前のローマ字表記は「姓=名」の順番にすることが望ましいという答申を出していることを説明した上で「外務省としても令和という新しい時代になり、東京オリンピックも控え、ラグビーのワールドカップ、即位の礼、G20、TICAD(アフリカ開発会議)など大きな国際会議も控えているため、安倍晋三もAbe Shinzoと表記することが望ましいと思っている。私から国際報道機関にそういう要請を出したいと思っている。国内のメディアのなかにも英語のメディアを持っているところがあるが、ぜひそうした配慮をしてもらいたい」と記者会見で要請しました。(今週号1面トップ記事で掲載)。これを受け、菅官房長官は「現在広く使われている記載方法のなかで、何ができて何ができないのかを関係省庁で調べていく」と述べました。23日付ニューヨークタイムズ紙も大きく報じ、通訳のサチコ・イシカワさんのコメント「文化的な背景からきた発言というより政治的な背景を持った発言」を引用し、今回の外相発言が日本の国家ナショナリズムの台頭、右傾化を示す動きとして牽制しました。ここまでが今週号の記事になっています。そこで、日本のニュースや考えを海外に発信する窓口となるニューヨーク日本総領事館広報センターにこの件に関して今後の対応を聞いてみました。これは紙面の記事には間に合いませんでしたが、応えは次のようなものでした。
「国際的な文書等における外国語での人名表記については,これまでの慣行もあって考慮すべき要素が多々あるため,外務省として何ができるか引き続き検討したい」と。つまり、今回外務大大臣が記者会見で外国プレスに要請したことは、政府の要請でもなんでもなく、外務大臣の個人的な思いを強く伝えたということだったようです。海外のメディアに対してそう発言すること自体がむしろ大切だったのかもしれせんし、こうして日米のメディアが騒いで取りあげるくらいが丁度よく、「よくぞ言った」と褒めてくれる人へのある意味の忖度だったのかもしれませんし、そうではないのかもしれませんし。ちょっと飛び出し禁止ラインに足を出して、引っ込めたみたいなよくわからいない大臣の要請でした。このニュースは日本の新聞ではなく、ニューヨークタイムズで知ったところも海外にいればこそ。日本にいたら知り得なかったかも。日本で何が起こっているのか、海外から国内外の日本人にもしっかりと伝えなくてはなりません。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)