編集後記4月27日号

みなさんこんにちは。今回の週刊NY生活722号がいわゆる「平成最後の発行号」となり、次号は「令和」です。昭和64年から平成元年になった1989年。流行語新語部門金賞に「セクシャルハラスメント」。流行語部門金賞に「オバタリアン」。ベストセラーは村上春樹の『ノルウエイの森』、盛田昭夫・石原慎太郎『「NO」と言える日本』、ヒットソングは井上陽水の「リバーサイドホテル」、美空ひばり「川の流れのように」、映画はビートたけしの「その男、凶暴につき」、テレビ番組では「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!(日本テレビ)」が始まった年でした。昭和天皇崩御を別にして亡くなられた人は手塚治虫さん、美空ひばりさん、松田優作さんらがいました。バブル景気が終わった年でもありました。そこから一気に30年。あの年に生まれた人は30歳に、あの時30歳だった人は60歳になってます。年をとるはずです。平成の時代に日本では阪神淡路大震災、東日本大震災があり、米国では同時多発テロがありました。私は、平成になった時は読売アメリカ、平成時代のほぼ真ん中から後半は週刊NY生活、そして令和になるいまもニューヨークで日本語新聞を出しているわけです。

世の中にニュースや話題が溢れかえっているなかで、こういう小さい媒体のフリーペーパーで情報を発信し続けることの意味はいったい何なのかをふと考えます。平成の間にインターネットが出現してメディアのあり方が大激変しました。週刊NY生活にとっては今年、共同通信社とヤフージャパンの関連子会社のノアドット社を通じて日本国内の地方紙40のブロック紙と400媒体にニュースを配信できるようになったこと、そして先週からそこを通じて日本最大のスマホ(携帯)ニュースのスマートニュースが「週刊NY生活」を採用したことで、アクセス数が数万単位で一気に増えることになったという朗報があります。令和の時代は、人工知能(AI)の時代になりそうですが、見て、聞いて、そこに足を運んで、記者が目の当たりにしたことを自分の言葉で伝える「取材の原点」に立ち返ることこそが、これからの令和の時代で大切なことだと思います。日本の新聞にも、アメリカの新聞にも載っていない面白い話題や、必要なニュースをどれだけ伝えられるか。時代の節目に初心に戻って、これからも鉛筆でレイアウトしていきます。毎週の新聞は、私にとって1面のレイアウトも含めてまるごと全部が時代と今を詰め込んだアート作品でもあります。人生はアートになり得るかー。それを見極めるところに情報を発信し続ける意味を見いだします。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)