編集後記

【編集後記】 みなさん、こんにちは。戦後、企業派遣ではなく、交換留学生として来米し、米国の大学を卒業してビジネスで成功した日本人の草分け的存在とも言える森田繁美さんが16日、慢性腎臓病のため、ニューヨーク市内レノックスヒル病院で亡くなった。91歳だった(本紙今週号7面に訃報記事掲載)。森田さんは、京都出身で、1954年同志社大学文学部英文科在学中に交換留学生としてノースカロライナ州ユーロン大学に留学。ニューヨーク大学大学院へ進み、59年に損害および生命保険代理店、モリタ・アンド・カンパニーを設立。大手日系企業300社余りを顧客に持つ地場最大手の日系保険会社として営業したが、96年に保険部門を東京海上火災と三菱インターナショナル社へ売却。その後は石油会社役員としてテネシー州のオイル・天然ガスの開発に貢献した。森田さんと取材できちんと話をしたのは、かれこれ今から33年前、息子のダニエルさんが、CNNの特派員として湾岸戦争の取材勤務を終えて1週間の休暇でニューヨークに帰省してきたときに、取材をするため、父親の森田さんとジョン・F・ケネディ国際空港に迎えに行ったときだ。〈1991年4月14日、午後4時20分。ジョン・F・ケネディ空港到着ロビー。入国手続きを終え、次々と出てくる人々の中にダニエルを見つけた繁美は、「あ、きた」と声をあげ、手を振って走り出した。砂漠で日焼けしたダニエルの顔がニコッと笑った。「元気か。大丈夫か」そういうのが精一杯だった。〉(読売新聞社「30人のあめりかマイウエイ』より)。昨年まで、マンハッタンの41丁目の日系スーパー、サンライズマートで、本紙、週刊NY生活をラックから取り出している森田さんをよく見かけ、何度か新聞を手渡して挨拶したがそれが最後になった。ビジネスマンとしても父親としても立派な人だった。合掌。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)■お知らせ■ 来週号はお休みします
 3月は発行日の土曜日が5回あるため、次週3月30日号は4月6日号との合併号となり、来週は休刊週となります。本紙は月4回発行しています。    ニューヨーク生活プレス社