日本人若手研究者を支援

第5回ライフサイエンス・セミナー
医療従事者ら発表

 米国日本人医師会(JMSA)主催の第5回ライフサイエンスフォーラムが20日、マンハッタンのニューヨーク大学ランゴーン医療センター講堂で開催された。今年のテーマは「vision, fusion,translation」。現在注目されているさまざまな医療・医科学の分野を牽引する医師や研究者による講演やパネルディスカッションが行われた。
 当日は、小児肝臓専門医、移植外科医、移植病理医のコラボレーションによって移植医療の最前線に迫り、マウスモデルによる脳機能解明、合成生物学、分子ロボティクスなど、最先端の科学分野をリードする若手研究者が、最新の知見を分かりやすく紹介した。国連による結核医療の支援、医療医学分野の知的財産保護、米国におけるキャリアパスや科学研究費の状況などについても、第一線の専門家による特別講演が行われた。
 プログラムは午前9時、大石公彦米国日本人医師会(JMSA)理事の開会挨拶で始まり、柳澤ロバート貴裕JMSA会長、独立行政法人日本学術振興会ワシントン研究連絡センターの平田光司ディレクター、佐藤貢司ニューヨーク日系人会副会長がそれぞれの団体の活動を紹介しながら、同フォーラムとの関わりや支援内容を報告した。全体の司会進行は朝来ゆいさんが務めた。
午前最初の部は、アルバート・アインシュタイン薬科大学研究員の能丸寛子さんの座長で、米国立衛生研究所(NIH)で小児健康医療人材開発部門プログラムディレクターを務める外山玲子さんが「サイエンスでキャリアを築くために学んだこと」と題して講演した。
 外山さんが医学研究の道に進むきっかけとなったのは、高校3年生の時に教師に薦められて読んだジェームス・D・ワトソンの『DOUBLE HELIX』(二重螺旋)だったこと、約300人の日本人ポスドク研究者がNIHで潤沢な研究費を与えられて研究者主導のハイリスクハイリターンの研究に従事していることなどを説明した。最後に米国でキャリアを築いていく上で大切なことして「アメリカは欲張ることを許してくれる国。これはキャリアを構築していくためには大きい」と語った。東京大学理学系研究科生物科学課程修了後、NIHへポスドク(ビジターフェロー)として来米した外山さんは、現在はNICHDのプログラムディレクターとして発生生物学の発展に力を注いでいる。
 当日は、このほか、大島喜世子氏、浅井章博氏、藪内潤也氏、別城悠樹氏、島田悠一氏、成田公明氏、江副聡氏、柳澤智也氏、寺田慧氏、中村秀樹氏、佐々木浩氏が講演した。会場には、医学関係者だけでなく一般の来場者の姿も多くみられた。