旅券更新のネット化がネット投票の後押し

 河野太郎デジタル担当大臣は3月24日のメルマガで27日開始のパスポートのオンライン申請について次のように説明しました。「パスポートの切替申請がオンラインでできるようになる。申請時と受取時に2回在外公館に行く必要があったものが受取1回で済む。16の府県では、戸籍謄本を別途郵送することでパスポートの新規申請と変更が可能になる。24年度からの戸籍の情報連携システムの開始に伴い、郵送を不要とする完全オンラインの新規申請を可能とする予定である。パスポートの申請システムはまだ改修の余地があるので、改修できるところは改修するよう指示した」

 このオンライン申請で以下が順次可能になります。   

1パスポート更新(切替申請)。2クレジットカードで手数料納付。3紛失届提出(手数料も不要)。4新規発行(2024年度中。戸籍謄本の提示が、戸籍の電子化によって可能に)。5郵送での交付(2024年以降にマイナンバーカードの活用、オンライン申請の普及率も考慮して検討。これが実現すれば、パスポートセンターなどに行かずに受け取れる)。

 今年を「領事手続のデジタル化元年」と位置づける林芳正外務大臣もデジタル化のハブとして、4月1日の領事デジタル化推進室の新設を発表しました。

 実は、外務省は2004年にもパスポートのオンライン申請を導入しましたが、利用者数が少なく、また「1件当たりのコストが1600万円に上る」との指摘を受けて2006年に廃止した経緯があります。今では在留届のオンライン申請も可能になっています。在外日本人の皆さんがさまざまなオンラインを活用することによって、在外公館に行く数を減らして皆さんの利便性を高めて経費を削減できることが明らかになりました。

 河野デジタル大臣はさらに、在外選挙人登録のオンライン化についても以下のように述べました。「総務省はヤル気のようですし、法改正も必要ないとのこと。選挙人登録をまずオンライン化しないと在外ネット投票も実現しないので、ぜひ進めてほしいです」

 「パスポート申請のオンライン化、在外選挙人登録のオンライン化、そして在外ネット投票」という三段跳びの流れを加速したいものです。そのためにも、在外日本人の皆様の熱意とご支援が必要不可欠です。

 「海外日本人サポート」で1年間寄稿させて頂いてきました。この間「在外公館が在外邦人への役場機能を持って欲しい。国民年金の納入その他のサービスなどもお願いしたい」との意見も目にしました。「お役人」として海外日本人のお役に立つ在外公館の姿を見たいものです。それには東京の政治と行政が変わることが必要です。

 ふじた・ゆきひさ=慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長。岐阜女子大特別客員教授。